移動式環境計測システム

本移動式環境計測システムはヒートアイランド現象等の進行により都市の夏季屋外温熱環境が過酷化していることを踏まえ、一定規模の地域において酷暑緩和策が必要な地点の探索と緩和策の提案に欠かせない原因の特定を支援します。このシステムは、広域の温熱環境を計測する「エリア計測車」と局地の温熱や風環境を計測する「スポット計測車」から構成されます。

概要

酷暑緩和策の立案にあたっては、初めに対象となる地域の温熱環境を計測します。具体的には、エリア計測車を対象地域の道路に沿って走行させることで、温湿度、路面温度、日射量を連続的に計測し、かつ計測データをGPSの位置情報とリンクさせながらデータロガーに蓄積します。計測データは3G回線を介して送信でき、かつグーグルアース上へリアルタイムに表示できます。エリア計測車は時速20~40km程度で走行しながら温熱環境を計測できるため、効率よく地域の温熱環境を把握することができます。

続いて、エリア計測データの中から、温熱環境が過酷な地点を特定して、スポット計測車により当該地点の温熱や風環境を集中的に計測します。小型計測車はベースの電動車椅子に、温湿度、風向風速、上下・左右・前後の長短波放射量を計測する装置を搭載しており、歩行速度で移動しながら計測作業を行います。長短波放射量計測は、日射(短波)あるいは、道路面や建造物の壁面等からの輻射熱(長波)による影響を求めるものです。スポット計測車はエリア計測車に搭載して搬送します。

酷暑緩和対策は、スポット計測データをベースに提案します。例えば、温熱環境を悪化させている原因が風通しの悪さなら風の道の確保、上からの日射なら日除けなどの上空対策、道路からの輻射熱なら遮熱舗装施工、建物壁面からの輻射熱なら壁面緑化といった具合に、局地の温熱環境に最適な改善対策を立案できます。

スポット計測車(左)とエリア計測車
エリア計測車搭載の計測機器
スポット計測車搭載の計測機器
東京ベイゾーンにおける気温の広域計測例(8月初旬の昼に計測)日差しの当たり具合、風の向きや抜け具合等によって差が生じていることが分かる。

関連情報

ニュースリリース

このページに関するお問い合わせはこちら