タフネスコート(光硬化樹脂による表面補強)

コンクリート構造物の表面に樹脂を薄く被覆するだけで、構造物の変形性能を飛躍的に向上させる補強工法「タフネスコート」の実用化に目途を付けました。
実用化されれば、補強工事の工費は1/2程度、工期は1/5程度になり、土木構造物の補強・補修工事の光景を一変させる可能性があります。防衛大学校・三井化学産資(株)との共同開発です。

概要

三者は、東日本大震災発生前からポリウレアの延伸・復元特性に着目し、コンクリート補強工法への適用を検討してきた最中、東日本大震災で津波被害を受けたサケ・マス養殖場において、ポリウレアで防水措置した水槽が奇跡的に形状を留めていたという情報を入手。現地調査をしたところ、当該水槽は波高3mの津波を受け、軽トラックや転石が激突した跡が窺がえるものの被害はなく、その他の水槽や構造物は跡形もないほど破壊されていたことが判明しました。

タフネスコートに用いる樹脂は、「ポリウレア」と呼ばれるものです。石油系化合物と窒素系化合物を瞬時に混合し吹き付けるとポリウレアになります。素材としての特性は、200%程度伸びても破断することなくほぼ復元することです。

性能試験

ポリウレアでコンクリート構造物を被覆すれば、拘束効果により補強できると考え様々な性能試験を実施しました。
防衛大学校で実施した載荷試験と衝撃試験では、長さ1200mm、幅100mm、厚さ120mmの鉄筋コンクリートにポリウレアを2mm被覆したものと被覆しない試験体二種類を使用し、両方の試験体とも試験体中央部に5mm程度のたわみが生じた時点でコンクリートにひび割れが生じ、後者はたわみ量が40mmを超えたところでひび割れが大きくなって破壊しました。前者はたわみ量が80mm近く(試験装置の限界)になっても破壊には至らず、荷重をかけるとゴムのように粘り、通常の鉄筋コンクリートなら破壊するような大変形が生じても荷重を支持でき、「壊れても、壊れない」という驚くべき特性を発揮しました。しかも被覆後、30秒で硬化し、30分足らずで補強効果が現れることも確認できています。

タフネスコートが実用化されれば、脆弱な既存構造物でも破壊が生じにくい粘り強い、変形追従性能に優れた構造物に生まれ変わることが可能です。

タフネスコート補強したコンクリート構造物は、通常のコンクリート構造物なら損壊するような力を加えて大きく変形させても、除荷(力を抜く)後は元の形状に戻ろうとする。

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