高流動コンクリートシミュレーション

型枠内への高流動コンクリートの充填状況を事前チェックできる3次元シミュレーションシステムを開発しました。このシステムを活用することで、高流動コンクリートの充填性を配慮した設計や最適な打設方法の提案が可能になります。

概要

開発

高流動コンクリートの流動性に関する実験を繰り返し、型枠の中でのコンクリートの流動状況をシミュレーションするだけではなく、流動が配筋密度や型枠形状によって阻害される程度を検証し、未充填個所の発生を予測する流動解析手法を構築しました。

シミュレーション

高流動コンクリートを均一な粘性流体として捉え、鉄筋などの障害物によって粘性流体を構成する粒子間に生じる流速分布などから流動・流動停止を判断し、未充填箇所を予測します。こうした解析手法は、流体力学の分野で用いられる粒子法をベースに構築したものです。

使用手順

  1. 最初に型枠形状や打設面積、鉄筋の径、配筋ピッチなどの設計条件を入力し、型枠と鉄筋の配筋状態を表す3次元モデルを構築します。
  2. 打設する高流動コンクリートの流動性であるスランプフロー、直径50cmの円状にコンクリートが流動・拡大するまでのフロータイム、打設スピード、コンクリート投入箇所などの打設条件を入力します。
  3. ノズルが所定深度の上端に達したら180度回転させ、再度所定深度まで下げ、同じくジェットを噴射させながら引き上げていくと、ガイド管の両側にスリット状の通水孔ができあがります。

入力されたデータから、コンクリートの充填性を解析、仮に充填性が不十分で未充填箇所が出るという結果が出た場合、設計・施工担当者は部材形状や打設条件を変更しながらシミュレーションを繰り返すことで、最適な設計・打設方法を提案することができます。また、施工段階で行う打設実験も複数回繰り返す必要がなくなるので、経済性も向上します。シミュレーションの精度については、シミュレーション結果と実験結果が一致しており、すでにシステムは実用化レベルにあります。

高密度の鉄筋が配置されたスラブ状型枠内への高流動コンクリートの充填挙動の実験模様(左)と解析結果

高密度な配筋を施した型枠に高流動コンクリートを充填する実験模様。コンクリート投入箇所でオーバーフローし始めていることがわかる。
(左)高密度な配筋を施した型枠に高流動コンクリートを充填する実験模様。コンクリート投入箇所でオーバーフローし始めていることがわかる。
緑色が流動停止部分、青色はわずかにでも流速がある部分。コンクリートの流動が途中で半円状に止まり、投入箇所でオーバーフローしている状況が再現されている。(全体の流動が停止する直前の状況)
(右)緑色が流動停止部分、青色はわずかにでも流速がある部分。コンクリートの流動が途中で半円状に止まり、投入箇所でオーバーフローしている状況が再現されている。(全体の流動が停止する直前の状況)

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