放射線遮蔽コンクリート
国内で大量発生が予想される廃ブラウン管のリサイクルを目的に、鉛が含有される廃ブラウン管ガラスを骨材とする放射線遮蔽コンクリートを開発しました。放射線の遮蔽性能は、厚さ50cmの場合、同厚の普通コンクリートの2倍となり、放射線の透過率は1%以下になります。この開発は、(独)物質・材料研究機構と(財)原子力研究バックエンド推進センターから得たアイデアがベースになっています。
概要
コンクリートの骨材は一般に、粗骨材(砂利)、細骨材(砂)および混和材(粉体)から構成されるため、廃ブラウン管ガラスを破砕する際に粒度を調整してそれぞれの代替骨材となるガラスカレットを製造します。圧縮強度18N/mm2で、放射線透過率が厚さ50cmで1%以下になる放射線遮蔽コンクリート1m3を製造する場合、粗骨材、細骨材、混和材に代替するカレットをそれぞれ800kg、600kg、100kg、計1.5トン(120台分のテレビに相当)混入します。こうした配合設計は、コンクリートの圧縮強度と流動性、放射線遮蔽性能を確認する試験を繰り返し行い、確立したものです。
放射線遮蔽性能試験
民間の研究機関に委託して実施しました。具体的には、コバルト60線源の前方に異なる厚さの放射線遮蔽コンクリート製の供試体を繰り返し設置し、遮蔽性能を確認しました。また、コンクリートの環境性能を確認するために、JISの試験法(K0058)にのっとり鉛溶出試験を実施、溶出量が土壌汚染対策法の鉛基準値(0.01mg/リットル)以下になることを確認しています。

