放射化コンクリートの放射能低減化技術
近い将来本格化する原子力発電所の廃炉・解体に備え、世界で初めて放射化コンクリートの放射能低減化技術を開発、その実用化に目途をつけました。この技術を採用することにより、放射性廃棄物となるコンクリート量を約1/100に削減できる見込みです。
廃炉に対する社内体制
原子力・火力本部(本部長 専務執行役員・真木浩之)と技術研究所が連携して、廃炉に関する技術開発に取り組んでいます。また、放射線対応の一連の技術開発については、東北大学名誉教授の中村尚司先生の指導を受けています。
概要
処理方法
- 放射化コンクリートを数ミリの大きさに粉砕し、それを約120℃の硝酸に24時間浸します。
- 骨材中のEuやCoをはじめとする様々な金属が硝酸中に溶出します。溶出した金属は、硝酸中にアルカリを加えて中和していく段階で、それぞれ特定のpH(ペーハー)の値になると金属塩となって析出されます。
- EuとCoは、pHが7~8になると析出されるので、それらをろ過して回収し放射性廃棄物として埋設処分します。
- 硝酸処理後のコンクリートは、EuとCoの含有量が従前の1/10以下となり、放射性物質として扱う必要がなくなるため、骨材は再利用、鉄やアルミニウムを含む塩化物は一般廃棄物として処分できます。
メリット
- 放射性廃棄物の量を従来の約1/100に削減できます。110万kWの原子炉(BWR型)を解体する場合、放射性廃棄物量が約2千m3減り、わずか約20m3で済む見込みです。
- 放射性廃棄物最終処分場の新設・増設需要を抑制できるので、社会コストの低減にも寄与できます。
- EuとCoをほとんど含まない硝酸処理後の骨材は放射化しにくいため、原子力発電所のコンクリートに再利用することで、将来の廃炉コストをさらに削減できることになります。
