スマートクレーン(ICT活用による高度化)

スマートクレーンは、揚重部材の種類、取付位置、揚重時間等の重要な生産情報とBIMを始めとする情報ツールとの連動を実現します。ICTのフル活用により、現場に搬入される個々の部材の取付位置を瞬時に特定、さらには揚重作業効率を見える化することで非効率な作業を特定・改善します。IHI運搬機械(株)と当社子会社(株)エスシー・マシーナリとの共同開発です。

概要

機器構成は、クレーンの作動状況検出センサ、多機能フック、各種センシング情報を蓄積し集約サーバーに送信する運転室パソコン、同モニター、作業責任者(職長)用のタブレットからなります。

適用現場での手順

  1. BIM等で作成した施工計画図と鉄骨柱・梁などの部材別の搬入予定一覧をタブレットに入力
  2. 揚重作業時、部材にクレーンのフックを掛ける(玉掛け)作業員がタブレット上で部材の記号をタッチ
  3. 多機能フックの通信機能により運転室モニターと施工階で取付作業を行う作業員のタブレットの表示図面上に取付位置を瞬時に表示

揚重作業効率の見える化の仕組み

  1. 多機能フックに部材の荷重がかかると集約サーバー上のプログラムが揚重作業開始と判断
  2. 検出センサがフックの巻き上げ・巻き下げ(揚程)量、ジブの上げ下げ(起伏)量、クレーンの旋回角度から当該部材の取付位置を算出
  3. フックが部材から解放され、再び次の部材の荷重がかかると集約サーバーが一連の揚重作業が終了したと判断

こうして収集される各部材の揚重作業時間、取付位置、フックの挙動等のデータは多機能フック内蔵のカメラと場内のカメラ群が撮影した映像情報とセットになって集約サーバー内に蓄積され、揚重作業記録として出力されます。各揚重作業の実績はバーチャートで視覚的に表現されるので、現場のスタッフは作業遅延等を容易に特定できます。また、当該作業時の映像情報を参照することで非効率な作業を特定できるので、作業員に改善方法を指示できます。

神奈川県内の現場で稼働中のスマートクレーン
神奈川県内の現場で稼働中のスマートクレーン
運転室内のモニター

運転室内のモニター
上から順に、

  • ジブ先端カメラ用モニター
  • 集約計器
  • 運転室モニター

多機能フック

多機能フックは、内蔵しているカメラ、マイク・スピーカー、LED照明、無線LANなどにより、揚重作業を効率化し、かつ安全性を向上させます。また、スマートクレーンのベースマシンとなる新型500tmの機械的性能は、軽量化とマストの高剛性化により自立高さが51mになるなど、いずれの性能も国内最高水準です。優れた機械的性能とICTの活用が相俟って、従来の揚重作業と比較すると揚重作業効率が20~30%程度向上し、高さ100mの大規模建築なら工期を約1ヵ月程度短縮できる見込みです。

大きさは幅1,594mm、厚さ635mm、高さ4,380mm、重量1.2tです。機器類を作動させるバッテリーも内蔵しており、独自開発した非接触充電システムにより、クレーン休止時にフックを巻き上げた状態で自動的に充電します。

多機能フック
多機能フック
多機能フック

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