高齢者見守りシステム

高齢者に対する介護の質向上と介護負担の軽減を目的に、センサを用いて居室内における高齢者の行動を見える化し、必要な時にはナースコールなどの報知器を発報させる介護支援システム「高齢者見守りシステム」を開発しました。

概要

居室内の入隅部に設置する3次元距離センサと、センサが認識する人間の3次元空間座標及びその動きとスピードから入床、離床や転倒といった行動を認識するプログラムで構成されています。3次元距離センサは、照射した赤外線が戻ってくる時間を計測することでセンサと対象物の距離を算出する測定器です。3次元距離センサで取得した距離情報をもとに居室の空間形状を示す3次元座標データを作成します。プログラムは、特定の方向に照射している赤外線の反射時間が短くなることでヒトの入室を認識し、反射時間が変化した赤外線の照射方向と反射時間からヒトの3次元座標を認識します。

認識可能な行動

入・退室、入床、離床、ベッドからの起き上がり・転落、転倒、歩行です。プログラムは、ヒトの頂点(頭)および重心の座標の動きとスピード、両座標とベッドの位置との関係からヒトの行動を認識するというロジックを採っています。

認識条件

  • ベッドからの起き上がりを認識する
    頂点の座標がベッドの高さから徐々に上がり、ベッドの高さから50cmを超えて1秒以上が経過し、かつ頂点と重心がベッドの領域内に収まっていることです。
  • 転倒を認識する
    高さ100cmを超えていた頂点または重心の座標が突然40cmを下回り、かつ両方の座標がベッドの領域外に出ているということです。
  • 起き上がりの認識
    徘徊防止に、転倒・転落の認識は迅速な事故対応に欠かせないことから、これらの行動を認識した場合にはリアルタイムに緊急通報を発して介護者に通知します。

起き上がりや転倒を把握するロジックの説明図

起き上がり
起き上がりを把握するロジックの説明図

ヒトの頂点が高さ50cmを超えて、頂点と重心★の座標がベッドの領域に収まっている。

転倒
起き上がりを把握するロジックの説明図

ヒトの頂点が突然高さ40cmを下回り、頂点と重心★の座標がベッドの領域外に出ている。

メリット

  1. 起き上がりを検知して通知することで介護者による迅速な徘徊対応ができるとともに、徘徊防止の為に介護者にかかる負担を軽減できます。
  2. 転倒など居室内での事故発生を直ちに通知でき、介護者による事故対応を素早く行うことができます。また、頻繁に転倒を繰り返す高齢者に対しては、転倒時の行動を分析し、転倒原因を把握し対策を講じることで、転倒の予防が可能になります。
  3. 高齢者を映像として認識するのではなく、座標として認識するので、高齢者のプライバシーを守りつつ、精度の高い監視ができます。

本システムにより、介護の質が向上し高齢者と介護者の安心感が向上するとともに、介護負担を軽減することができます。

部屋の入隅に据え付けたセンサ(左)とシステム構成(右)
部屋の入隅に据え付けたセンサ(左)とシステム構成(右)

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