室内空間における微生物対策

医薬品・食品工場の衛生環境の維持、ならびに医療機関における院内感染の防止を目的に、薬剤散布による微生物対策の効果を定量的に検証する手法を確立しました。この結果、薬剤に対して耐性の異なる黄色ブドウ球菌や枯草菌、大腸菌、緑膿菌※1といった、医薬品・食品工場や医療機関が最もケアする微生物を効果的かつ経済的に滅菌する薬剤散布方法の提案が可能になりました。

概要

検証手順

  1. 当社技術研究所内にある空間容量51m3の本格的なバイオロジカルクリーンルーム※2(BCR)で薬剤散布試験ならびに薬剤の分解試験を実施
  2. 試験結果を踏まえて薬剤散布方法の効果と経済性の最適化を図るシミュレーションを実施します。一連の検証に必要な期間は、対象施設によって異なりますが、短いもので1~2週間程度です。

BCRで実施する薬剤散布試験では、施設管理者が指定する薬剤をガス化してBCR内に噴霧し、滅菌に必要な空間濃度を維持できる噴霧圧や噴霧量、噴霧時間等を求めます。分解試験では、散布した薬剤を分解触媒装置により回収・分解し、薬剤が施設内に残留しないこと、あるいは大気に排気できる濃度に低減できることを確認します。なお、施設管理者により初めて扱う微生物や薬剤が指定された場合、当該微生物の滅菌に必要な薬剤の空間濃度、微生物と薬剤の接触時間等をラボ試験などにより推定し、その後、薬剤散布試験を行います。

※22007年に技術研究所内に完成した総合クリーンルーム研究施設にある3つのクリーンルームのうちの一つ。医薬品工場や食品工場、医療施設などに必要なバイオ関連のクリーン化技術の実証試験を行うことを目的に、通常のクリーンルームの設備に加え、薬剤散布装置や除菌装置などの特殊設備を配備している。

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