手術室空気環境予測システム

手術室の気流、清浄度、温湿度を予測し、空気環境を見える化する3次元シミュレーションシステム「手術室空気環境予測システム」を開発・実用化しました。このシステムにより、手術室における医師や医療機器の配置計画、空調計画を立案することで、空気環境のカスタマイズが可能になります。シミュレーションの信頼性は、モックアップ試験により確認済みです。

概要

このシステムは、手術室の形状・面積、空調の給・排気量や給・排気口の位置、発熱体である人間と医療機器の配置計画などをもとに、手術室内の空気環境を見える化し、カスタマイズできるシステムです。
開発にあたっては、人間からの発熱・発塵量を体の部位別に明らかにするとともに、CTや超音波診断装置といった各種医療機器の稼働にともなう発熱・発塵量、形状等を実測して、それぞれモデル化。また、これまでに設計を手掛けた手術室のモックアップ実験で求めた給・排気量と給・排気口の位置の違いによって室内に生じる気流、さらには集塵フィルターの機能等もモデル化し、高いシミュレーション精度を確保しています。

システムの適用手順は、まず、手術室の形状・面積、医師や医療機器、給・排気口の配置等の必要な情報を入力して手術室の3次元モデルを構築。続くシミュレーションでは、実際の手術時における医師や看護師の動き、医療機器、空調の状況を再現するとともに、人間や機器等の発熱体が発する気流や粉塵、空調の気流等、それぞれが相互に干渉し、かつ機器等の形状や配置の影響を受けながら変化する気流、清浄度、温湿度を3次元で可視化します。

従来のモックアップ実験では、時間と予算の関係から、空気環境を確認できる手術室のレイアウトパターンは限られていました。本システムの適用により、時間と予算の制約が少なくなり、様々なレイアウトパターンにおける空気環境をシミュレーションできるので、より優れた空気環境を備えた手術室の提供が可能になります。

手術室の3次元モデルを用いた空気環境シミュレーションの一例
人や医療機器の配置など、従来よりも手術室のリアルな条件を正確に再現したシミュレーションが可能。流線は空気の流れを表し、色は粒子濃度を示す。術野には設計清浄度を満たした清浄空間が形成されていることが分かる。

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