3次元波動シミュレーション(騒音評価)

このほど開発・実用化された「3次元波動シミュレーションシステム」は、スーパーコンピュータの使用が不可欠とされていた波動理論に基づく音の伝搬解析を、パソコンによって処理することを実現しました。このシステムにより、本来の音の伝搬特性を反映した高精度な解析を手軽に行えるので、より効果的・経済的な騒音対策等の立案が可能になります。
一連の技術開発に当たっては、首都大学東京・大久保寛准教授から技術指導を受けました。

概要

解析手法

開発にあたっては、波動理論解析を簡素化し、データ処理量を抑制することが最大の課題になり、高精度な解析を行う領域と精度を求めない解析を行う領域を音の伝搬に合わせてシフトさせる手法の開発に取り組みました。この結果、高精度な解析を行う細かい計算メッシュが音の伝搬に先行・追随していく、つまり音の伝搬に合わせて計算メッシュの大きさ(細・粗=精度)を自動調整する手法の開発に成功し、パソコンによる波動理論解析を実現しました。

この手法により、音が伝搬している領域に限って計算メッシュを細分化する一方、音が通過した、或いは到達していない領域の計算メッシュを粗分化することで、計算に必要なメモリーと時間をともに1/5程度に軽減・短縮できました。メッシュの細・粗設定は任意ですが、目安として周波数300Hz程度までの騒音を扱う場合は、高精度な解析領域では10cm程度、その他の領域では30cm程度に設定します。対象面積によって異なりますが、解析に要する時間は半日程度です。

シミュレーション手順

シミュレーションの手順は、初めに騒音源周辺の地形や構造物、騒音対策を反映した3次元モデルを構築した後、騒音源の情報を入力すると、システムが騒音の伝搬状況を解析・予測します。
音の伝搬特性を忠実に反映した高精度な解析が行えること、騒音の経時伝搬状況をアニメーション表示でき騒音対策の効果が一目瞭然になることから、過不足のない最適な対策を立案できます。

関連情報

ニュースリリース

このページに関するお問い合わせはこちら