ラック免震システム(物流、IDC)
(傾斜に対する復元力を利用した免震システム)
概要
おもな特徴
- 積層ゴム、ダンパーが不要となる薄型(厚さ250mm程度)の免震システム。
- 自動ラック倉庫、データサーバー、設備機器等の、部分免震に適したシステム。
開発概要
傾斜すべり支承の機構、原理(当社特許)
- 上下のすべり板の間に、摩擦材を貼付けた摺動子を挿入して構成されるすべり免震機構である。
- 摺動子は、上部すべり板に対して方向Xにのみ摺動できるように、また下部すべり板に対してその直交方向Yにのみ摺動できるように側面ガイドで保持されている。組合せにより、平面的に任意の方向に摺動可能な機構となっている。
- 摺動子と上下のすべり板との摺動面は、摺動方向に沿ってV型に傾斜する勾配面としている。これにより、支承が水平変位を受けた場合には、摩擦抵抗力と同時に傾斜に対する復元力が生じ、その両者の和が復元力特性となる。
傾斜すべり支承を用いた免震システムの特長
- すべり機構のため、大地震時でも免震直上部の応答加速度が頭打ちされる
- 残留変位が少なく、また複数回の地震動を受けた場合にも累積しない
- 偏在荷重に対して偏心しにくい
- 固有周期を持たないため、長周期地震等に対しても共振しにくい
- 低コストでの製作が可能
- 従来免震構造に比べ根切深さを浅くでき、仮設費用の低減が期待できる
- メンテナンスフリー
性能検証
- 傾斜すべり支承の上に錘を載せた振動台実験により、免震効果を確認
- 1995年兵庫県南部地震JMA神戸波(最大加速度約800gal)、2011年3.11地震芳賀波(最大加速度約1300gal)の入力に対して、錘の応答加速度は250gal程度、残留変位は数mm程度