東京大学安田講堂

建物外観

歴史的な建造物の保存と改修

改修工事 2013年6月~2014年12月

歴史的な建造物を保存と改修では、建物の現状の形状や耐震性能などを詳しく解析、評価し、そこから最適な改修方法を検証する技術やノウハウが必要です。

東京大学安田講堂では、東日本大震災で一部被害が発生したこともあり、当社で講堂天井と構造躯体の耐震改修、外壁をはじめとする仕上げ材を創建当初の意匠に復元する工事を行いました。

東京大学安田講堂

3Dスキャナによる建物内部の実測、図面化

1925年に当社の前身である当時の合資会社清水組の施工により建てられた東京大学安田講堂は、同大学のシンボルともいえる建物です。1996年には国の登録有形文化財第1号に指定、登録されています。
工事にあたっては、まず施設内を3Dスキャナで実測して図面化するとともに、創建当初の意匠が失われてしまった建物部位について、東京大学と当社が保存している資料から特定しました。この調査結果を踏まえ、具体的な改修・復元方法を立案。試験的な施工により改修工法の有効性を検証しました。

3Dスキャナによる建物内部の実測、図面化

講堂天井と構造躯体の耐震改修

清水建設では、建物の用途や状況、改修を行う箇所(天井、梁、柱、壁など)に合わせた多様な耐震技術を保有しています。今回は改修後も既存の意匠を維持できる方法を選択しました。

既存の吊り天井は、漆喰塗仕上げの天井板が重く、大規模地震時に落下する可能性がありました。また天井全体が複雑な形状で、一般的な手法による耐震化が難しい状況でした。そこで、地震時に天井だけが独立して揺れないよう、天井と建物を連結・一体化。さらに天井板は意匠を継承しつつ、軽量で剛性の高いグラスファイバー補強の石膏天井版に張り替えました。

講堂天井と構造躯体の耐震改修

構造躯体の耐震化では、既存の鉄筋コンクリート壁を撤去し、厚さ20cmの鉄筋コンクリートを耐震壁214枚を新設。あわせて24箇所に鉄骨ブレースを設置し、現在の建築・耐震基準に合わせた安全性を確保しました。

関連技術

意匠の復元

今回の改修工事では、学術的調査および展示公開に向けて、既存部材の実測図面化やオリジナル部材の保存など、文化財としての記録保存作業も行いました。こうした作業もまた、建物が刻んだ歴史を未来へ継承していく上で重要です。

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