杭長診断法「コンピタ」を開発

~杭頭を打撃するだけで杭の長さを正確に診断~

  • 建築技術

2019.01.11

清水建設(株)<社長 井上和幸>は、地中に打設された基礎杭の頭部を打撃するだけで杭の全長を正確に推定できる杭長診断法「コンピタ」を開発し、このほど、一般財団法人日本建築センターより杭長診断法として初の技術評定を取得しました。コンピタは、衝撃弾性波試験を利用する従来の杭長診断法を改良したもので、特徴は、周辺地盤が杭体を伝播する衝撃弾性波の速度に及ぼす影響も考慮して杭長を推定できることです。

近年、市街地等の建替工事において、新設建物の基礎杭として既存杭を再利用するニーズが高まっています。既存杭を解体撤去せず有効活用できれば経済性と生産性が向上するだけでなく、新設杭の施工に伴う建設汚泥等の発生量を抑制でき環境負荷の低減にもつながります。

既存杭を再利用するためには、まず、地中に埋設された杭の全長を推定し、杭の先端が支持層に到達していることを確認する必要があります。杭長の推定には、従前より衝撃弾性波試験が利用されています。この手法は、杭頭からの打撃波が杭の先端で反射して再び杭頭に戻ってくる時間を測定し、この先端反射波の伝達時間と、診断者が設定した杭体の弾性波伝播速度を掛け合わせて杭長を算定するものです。ただ従来は、算定用の弾性波伝播速度に経験値を採用する場合が多く、推定結果と実長に乖離が生じる懸念がありました。

一方、杭長の推定精度を高めるうえでは、周辺地盤が杭体の弾性波伝播速度に与える影響も考慮する必要があります。一般に、杭体を伝播する弾性波の速度は、地盤の影響を受ける地中では低下する傾向があり、当社が実施した比較試験では、気中での計測値より最大1割程度遅くなることが確認されています。

当社はこうした背景の下、杭長診断の精度向上を目的に、杭体の弾性波伝播速度を露出させた杭頭部で実測したうえで、周辺地盤の物性を反映した数値解析により地中での弾性波伝播速度を求め、杭長推定に利用するコンピタを開発しました。周辺地盤の物性は、表層から支持層に至る各地層の土質に応じて設定し、杭径の5倍以上の平面領域を対象に解析用の三次元有限要素モデルを構築します。この解析モデルを用いて、実測した弾性波伝播速度が地中でどのように変化するかを解析し、杭長の推定に反映させます。

コンピタの診断対象は杭長50m以下の基礎杭で、±1m以内の精度で杭長を推定できます。また、場所打ちコンクリート杭のみならず、場所打ち鋼管コンクリート杭にも適用可能です。当社は今後、杭長に加えて、杭体の損傷状況を高精度に評価できる手法の開発に取り組み、既存杭の再利用を促進する考えです。

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