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都市部の自然環境を客観的に現状分析・評価できる新手法の開発に成功

―大規模再開発に伴う緑化プランの策定などに積極活用―

  • サステナビリティ

2008.04.10

清水建設(株)<社長 宮本洋一>はこのほど、都市部の自然環境を客観的に現状分析・評価できる新手法の開発に成功しました。本手法は対象地域の緑地分布や生物分布を定量分析し、その結果から生物多様性の観点で段階評価するもの。緑化計画の際に本手法を使えば、量的な緑地確保だけでなく、地域の生態系に配慮したプランを策定することが可能です。今後当社は、大規模再開発などに伴うコンサルティングに、本手法を積極的に活用していく計画です。

都市部の大規模再開発は今後ますます、自然環境への配慮が大切になってきます。そのためには、立地と周辺の自然環境をより正確に現状把握することが必要です。ところが、自然環境の評価はこれまで、開発事業に伴う環境アセスメントなど、法律上の義務の範囲で行われてきたもの。その具体的な手段は、航空写真などをもとに対象地域の緑を読み取るなどの、人力に頼った主観的方法に限られていました。

今回当社が開発した手法は、街区や市区域のレベルで、事業立地とその周辺の自然環境を客観的に現状分析する技術です。その特長は、緑地分布と生物分布のそれぞれを、独自の技術で定量分析する点。緑地分布の分析は、衛星写真などをPCで高速画像処理して行い、生物分布の分析は、フィールド調査と統計的推計の組み合わせで行います。そしてこれらの分析結果から自然環境を、生物多様性の高低でランク付けします。

分析は事業立地とその周辺5km四方を対象とし、標準的な分析期間は約1ヶ月。なお分析前に、フィールド調査を行う必要があり、このフィールド調査はケースに応じて、最長1年の期間がかかります。

≪本手法の概要≫

分析・評価の方法
(1)ステップ1 「緑の分布分析」

独自にプログラム開発した画像処置技術でPCを使って、衛星写真や航空写真を解析し、緑地分布の現状を分析するステップです。街路樹から住宅地の植栽等まで、植生状況を詳細分析します。4つの角度、すなわち「連続性」、「多様性」、「まとまり具合」、「隣接具合」という角度から、対象地域を地図上で計測して数値化します。

(2)ステップ2 「生物分布予測と多様性評価」

生物分布を現状分析したうえで、対象エリアの生物多様性を評価するステップです。まず多様性の目安として、チョウ類または鳥類を対象に、「フィールド調査」を実施。次に得られた分布情報を基に、独自の「予測モデル」を使って、生物分布の統計的推計を行います。そして最後に、生物の種類と生息数から、対象エリアの生物多様性を「レベル1―低」から「レベル4―高」までの4段階でランク付けします。

生物多様性は、「生物種の多様性」を指し、生物の種類と生息数が豊富であるほど、高いといえます。

特徴・メリット
(1)自然環境を客観的に定量分析できる唯一の手法
緑地分布と生物分布のそれぞれを、客観的に定量分析。自然環境の評価手法としては、これまでなかったものです。
(2)分析データを視覚的に表示
分析過程で得られる緑地分布と生物分布に関するデータは、GIS(地図情報システム)を用いてPC画面上に表示。事業計画図等との重ね合わせも可能です。
(3)緑化プランの策定に貢献
分析データをもとに、配慮の対象とする生物の種類を選定し、そのための緑地の種類や配置について、最適な緑化プランを策定します。周辺に生物多様性の高い緑がある場合は、その場所との連続性を確保します。

今後当社は本手法を活用し、緑化プランのコンサルティングを開始。以下のような緑化計画を中心に、都市の自然環境の向上に取り組む計画です。

  • 大規模再開発での街区規模の緑地計画
  • 地域環境への貢献を目指すエコキャンパスやエコファクトリーなどの敷地計画
  • 広域生態系に配慮した公的な緑地整備
  • 教育機関による環境教育等、環境活動への支援・協力

以上

≪参考≫

緑地・緑化整備を巡る行政動向

緑地・緑化整備を巡っては近年、「緑と水のネットワーク」というコンセプトで、自治体などを中心にした新たな取り組みが進んでいます。この取り組みは緑の量的確保に止まらず、生物多様性の保全を目指すもの。国家戦略としても今後は生物多様性を確保する動きが加速するものと思われ、都市部で行われる大規模再開発には、生物多様性の観点を取り入れた計画策定が不可欠です。

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