災害時の医療救護活動を効率化する「MCP(Medical Continuity Plan)支援システム」

「MCP(Medical Continuity Plan)支援システム」は、デジタル化技術により医療機関における災害時の医療救護活動に必要な情報を収集・可視化し、提供するシステムです。タイムライン防災※1が有効な水害に対して特に威力を発揮します。

※1タイムライン防災:災害の発生を前提に、防災関係機関が連携して災害時に発生する状況を予め想定し共有した上で、「いつ」、「誰が」、「何をするか」に着目して、防災行動とその実施主体を時系列で整理し、災害に備えること。

背景

日本国内は自然災害に遭遇するリスクが高く、さまざまな用途の施設において、地震はもとより、頻発する風水害へ備えた業務継続計画が求められています。とりわけ、業務継続の重要性が最も高いのが災害拠点病院であり、多くの医療機関が業務継続計画を整備しています。ただ、災害時には急増する救急患者への対応が求められるため、計画の実践は容易ではありません。

システムの特長

災害対策本部の最大の役割となる「限られたリソースを適切に配分するための迅速かつ的確な判断」の支援に資する情報をリアルタイムに収集・可視化し、提供します。

可視化する情報

防災計画に基づく防災活動とそれぞれの進捗状況、救急患者への医療提供といった災害時に変動する業務量、病院スタッフの安否確認・参集情報、救急患者数と災害医療に従事するスタッフ数、医療機器の使用可能台数、医療資材(診療材料や薬など)の充足度など、医療提供に必要な基盤情報です。これらの情報を対策本部のダッシュボードやスタッフが携帯するタブレットを介して提供します。もちろん連絡・報告・クロノロジー※2などの機能も備えています。

※2クロノロジー:災害時緊急時の状況あるいは活動の内容を時系列に沿って記録・整理した情報あるいはその手法。

MCP支援システムのダッシュボード(タスク管理画面)
MCP支援システムのダッシュボード(タスク管理画面)
MCP支援システムのダッシュボード(患者施設情報画面)
MCP支援システムのダッシュボード(患者施設情報画面)

災害医療の確実な実践を支援する機能

システムは各スタッフが担うタスクを災害の程度(水害ステージ)に合わせてスタッフ所有のスマートフォンを介して通知。スタッフがタスク完了報告を返信すると、完了したタスクはダッシュボードの画面上でグレーアウトするので、未完了のタスクを瞬時に把握できます。また、救急患者の人数や災害医療に従事するスタッフの名前と人数をダッシュボードやタブレットに表示します。この画面を見れば、重症、軽症などの重症度別の対応エリアに所在する患者数に対するスタッフ配置数の適否を判断できます。災害医療に必須の医療機器の使用可能台数も表示可能です。

MCP支援システムのダッシュボード(救急患者対応画面)
MCP支援システムのダッシュボード(救急患者対応画面)

防災訓練を通じたシステムの有効性の検証

独立行政法人地域医療機能推進機構 人吉医療センターが2022年10月に実施した防災訓練においてシステムの有効性を検証しました。

各防災活動の展開状況をリアルタイムに把握でき適切な指示ができる、急増する患者に対する医師や看護師の配置判断に有効、各部署・スタッフが適切・確実に必要事項を報告できる、といった評価をしています。

MCPシステムのダッシュボードから災害対策本部の意思決定に必要な情報を参照する本部員
MCPシステムのダッシュボードから災害対策本部の意思決定に必要な情報を参照する本部員

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