既存ストックを活用し超高層の建て替え工期を1年以上短縮

~「Re-GENUS BASE」で従来の地下工法の常識を一新~

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2026.02.10

清水建設(株)<社長 新村達也>はこのほど、首都圏で進む超高層ビル建て替え工事受注の切り札として、従来の地下工法の常識を打ち破り大幅な工期短縮と環境負荷の低減を実現する新地下工法「Re-GENUS BASE(リジェナス・ベース)」を開発・実用化しました。この工法の最大の特長は、既存超高層の地下の構造体(ストック)を再設計し、新築工事の仮設として活用することです。適用第一号となった内幸町一丁目街区南地区第一種市街地再開発事業のサウスタワー(仮称、所在地:千代田区内幸町一丁目)では、13カ月の工期短縮を実現しています。

サウスタワーは、事務所、商業、ホテル、ウェルネス促進施設などで構成する大規模複合ビルです。事業代表施行者は中央日本土地建物、規模は地上46階、地下3階、高さ約230m、延床約29万m2、工期は2025年4月~29年3月です。当社は実施設計・監理・施工を担っており、現在の工事進捗率は約20%です。

超高層の建て替え工事では、工期短縮を図るため、多くの場合「逆打さかうち」と呼ばれる地下工法を用います。逆打工法の特長は、既存超高層の地上階を解体した後、先行して構築する新築1階の床(先行床)を境に地上階と地下階の躯体の同時施工が可能なことです。ただ、新築柱を支持する仮設の杭基礎ありきの計画が常識になっていることから、杭打機や生コン車が走行する作業床が必要で、大掛かりな仮設工事を伴うことが難点です。

こうした従来の常識を覆したのが「Re-GENUS BASE」です。具体的には、既存の地下構造体を再設計し、外壁、床、梁を山留めに用いることに留まらず、既存底盤(ピット部)までフル活用し杭基礎を無くしたことが従来の逆打工法と大きく異なる点です。新工法では、杭基礎に替え、既存底盤の上部に築くコンクリートの層の上にスポット的に築く基礎で新築柱を支えます。この結果、大掛かりな仮設工事が一切無くなります。例えば、底盤に杭基礎施工用の開口を設ける解体、杭打機等が走行する作業床の構築、地下水流入を防止し、作業床を支持する土砂等による既存地下階の埋戻し、埋戻し土の撤去、といった作業が無くなり、大幅な工期短縮を実現します。

サウスタワーには144本の鉄骨柱があります。従来の逆打工法を採用した場合、直径2.0~2.7m、長さ20~25mの杭基礎を同数設ける必要があり、杭コンクリートは17,000m3、既存地下階への土砂等埋戻しの充填量は約146,000m3にも達します。新工法の採用により、地下工事だけで13カ月の工期短縮を実現。環境面では、資材数量や作業量の削減により、CO2排出量を9,000t削減します。既存建物の外壁・底盤を残したまま施工が進むので、周辺地盤に埋設されている重要インフラ施設に影響を与える可能性が極めて低くなります。こうしたメリットが新工法採用の決定打になりました。

当社は今後、超高層ビルの建て替え計画に際し「Re-GENUS BASE」を積極提案することで優位受注を図る考えです。

CO2排出削減量は、一般財団法人住宅・建築SDGs推進センター(IBECs)より公開されている「建築物ホールライフカーボン算定ツール」であるJ-CAT®(Ver.2.2)に記載されている原単位を用いて算出。従来工法(逆打工法)に比べ、新工法が使用する建築資材の数量に着目して各工法・各資材の数量に生産段階および流通段階の原単位を乗じた差分を対象としてCO2排出削減量を算出。

≪参 考≫

新工法と従来工法の比較

新工法と従来工法の比較図

サウスタワーの概要

所 在 地 千代田区内幸町一丁目1000番ほか(地番)
事 業 者 代表施行者 - 中央日本土地建物(株)
共同施行者 - 東京電力パワーグリッド(株)、TF内幸町特定目的会社(東電不動産(株)出資の特定目的会社)
関係権利者 第一生命保険(株)、中央日本土地建物(株)、東京センチュリー(株)、東京電力パワーグリッド(株)、TF内幸町特定目的会社
基本設計 (株)日建設計(基本設計・タワーデザイン・工事技術コンサル)
実施設計・監理・施工 清水建設(株)
用  途 事務所 / ウェルネス促進施設 / 商業 / ホテル / 駐車場
規  模 建築面積9,504m2、延床面積285,854m2
地上46階、地下3階、塔屋1階、高さ227.78m
構  造 地上 - 鉄骨造(一部柱:CFT造)
地下 ‐ 鉄骨鉄筋コンクリート造
基礎 ‐ 直接基礎
工  期 2025年4月~29年3月
完成予想パース
サウスタワー完成予想パース

サウスタワーの施工状況

新築柱の建て込みと下部基礎補強が完了した写真
既存地下躯体を残したまま新築柱の建て込みと下部基礎補強が完了
既存地下階の床を利用して新築工事を進行している写真
既存地下階の床を利用して新築工事が進む
地上部の様子の写真
地上部で進む鉄骨建て方

工法名について

「Re-GENUS BASE」は、Re「再」+ GENE「生」+ US「我々」+BASE「地下」をつなげた造語で、既存構造体に新たな価値を見出し、再生(Regenerate)させることを意図したネーミング。当社は本工法を、既存ストック(建物)を活用してより良い社会を実現するリジェネラティブ・デザインの実践技術と位置づけ、今後も関連技術群を順次開発・展開する。

以上

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