AIカメラで重機周辺の人の存在を検知し、接触災害を回避

~姿勢や体の向きを問わず、高精度の人検知・距離推定を実現~

  • 土木

2020.07.22

清水建設(株)<社長 井上和幸>はこのほど、東京大学発のAIベンチャー、(株)Lightblue Technology<東京都文京区、代表取締役 園田亜斗夢>と共同で、山岳トンネル現場における人と重機との接触災害の根絶を目指し、単眼カメラユニットと画像解析AIで構成する、重機搭載型のAIカメラ監視システムを開発しました。

このシステムは、画像解析AIを用いて、重機に取り付けた単眼カメラの画像から重機周辺の危険区域内にいるヒトを瞬時に検知し、警告音、ライト点灯、モニター表示等でアラートを発報するものです。システムの最大の特徴は、画像解析AIに組み込んだ骨格推定アルゴリズムにより、カメラ画像に映り込むヒトの関節の動きから頭や腕、足などの骨格をリアルタイムに推定し、時々の姿勢、ポーズまで認識できることです。また、コンパクトかつ安価な単眼カメラで高価なステレオカメラ並みの距離推定精度を確保できることも大きな特徴です。

建設現場で発生する災害のうち、重機接触災害が占める割合は約2割に上ります。特に、狭い作業空間内で複数の重機を稼働させる山岳トンネル現場では、重機と作業員との接触をいかに回避するかが安全管理上の大きな課題となっています。

重機接触災害の防止対策技術としては、複眼のステレオカメラを用いて人の検知と重機からの距離推定を行うカメラ監視システムが既に製品化されています。ただ、既存製品は導入コストが高いものが多く、しゃがんだ状態では人として検知するのが難しいといった機能面での制約もありました。

今回開発したAIカメラ監視システムの核となる画像解析AIは、ヒトが取る様々な姿勢の骨格を機械学習しているので、手荷物等により画像中のヒトの身体の一部しか映っていない場合や不動の場合でも、ヒトの存在を検知します。一方、検知したヒトと重機との距離は、推定した骨格から得られる足元の位置を基準に求めます。距離が5m以下になると、作業者と重機オペレータに警報を発する仕組みとしています。

本システムの開発にあたっては、当社が開発計画の立案、実験・評価、Lightblue Technology社がAIエンジン開発、システム構築を担当しました。実証試験では、9割を超える高い検知精度が確認できており、今後、神奈川県内で施工中の新東名高速道路萱沼トンネル工事に本システムを装備した重機を導入し、現場環境下での適用性を検証します。実現場での検証結果を基に、検知精度や使い勝手のさらなる改良を図り、2021年中の商品化・外販開始を目指します。

以上

≪参 考≫

(株)Lightblue Technologyの概要

本社 東京都文京区湯島4-1-13 ルネ湯島ビル2F
TEL 03-6801-8990
代表者 代表取締役 園田 亜斗夢
資本金 800万円
設立 2018年1月
業容 ソフトウェア開発

システム構成

システム構成

画像解析AIによる骨格推定

画像解析AIによる骨格推定

「新東名高速道路 萱沼トンネル工事」の概要

発注者 中日本高速道路株式会社
工事場所 神奈川県秦野市八沢~神奈川県足柄上郡松田町
工種 山岳トンネル
規模 トンネル延長 上り線1,363m 下り線1,358m
工期 2017年9月~2021年8月

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