切羽崩落振動監視レーダーシステムを開発

~ミリ波レーダーで崩落予兆を捉え、退避アラートを発報~

  • 土木技術

2018.08.07

清水建設(株)<社長 井上和幸>はこのほど、最新技術を活用した次世代型トンネル構築システム「シミズ・スマート・トンネル」の要素技術として、切羽崩落振動監視レーダーシステムを開発、山岳トンネル工事における切羽崩落災害の根絶を目指します。本システムは、物体表面を面的に探査しながら目視では確認できない微細な振動挙動を捉える振動可視化レーダー技術を用いて、切羽全面をモニタリングするものです。基準値を超える変位量や変位速度を検知した時には、退避を促すアラートを発報します。

発生件数が下げ止まりの状況にある切羽の崩落・落石災害を防ぐためには、崩落防止対策はもとより、崩落の予兆を的確に捉え、事前に作業員に退避を促すことが肝要です。本システムは、こうした補助的な崩落災害防止対策技術として開発したものです。

本システムは、76~77 GHzの周波数帯域を使用するミリ波レーダーとデジタルカメラが一体となった測定システム、システムコントロール用PC、記録用ハードディスクで構成されます。測定システムの核となるミリ波レーダーは昨今、自動車の自動運転分野において民用化が進むセンサー技術であり、塵や霧などの微粒子の粒径より大きな波長を持つミリ波の特性から、トンネル現場のような見通しの悪い環境下でも直進性・透過性が損なわれないというメリットがあります。

一方、切羽を常時モニタリングする際には、レーダーと切羽の間にミリ波が透過しない施工機械や作業員が入り込むことが避けられず、そこからの反射波の影響で切羽の変位データに異常値が出てきてしまいます。そこで、こうした異常値をノイズとして除去するフィルター機能を組み込むことで、切羽全面の常時モニタリングを可能にしました。

本システムでは、レーダーで切羽の変位を面的にサーチしながら0.1㎜単位で振動挙動を捉え、地山応力の状態変化や、掘削した切羽面に浮いた状態で留まっている岩塊等の振動状況を監視します。切羽の変位状況は、PC上にリアルタイムで表示される変位量・変位速度の面的分布図で確認でき、切羽のライブ映像に重ね合わせて可視化することも可能です。崩落予兆を捉えた際には、フラッシュライト、警告音、モニター表示により、注意・警告・退避の三段階でアラートを発報します。

当社は今後、山岳トンネルにおける切羽崩落災害の撲滅に向け、本システムの現場適用を進めるとともに、崩落・落石現象が発生する以前の予兆条件をデジタルデータとして蓄積することで、将来の無人化施工技術の構築につなげていく考えです。

以上

≪参 考≫

切羽崩落振動監視レーダーと測定状況

切羽崩落振動監視レーダー
測定状況

切羽変位データのアウトプットイメージ

対象点の変位量時系列データ、切羽全面の変位量マップ
対象点の変位量時系列データ、切羽全面の変位量マップ

シミズ・スマート・トンネル

ICT、IoT、AI等の最新技術を活用し、トンネル現場の生産性と安全性の飛躍的向上を図る次世代型トンネル構築システム。現場で協働する人と機械、作業環境に関する情報を集約し、AI解析に基づくガイダンス情報をリアルタイムに現場へフィードバックすることで、生産性と安全性を高い次元で両立させる。それとともに、センシング技術を活用して熟練工が持つ経験知を定量化し、AIによる建設機械の自動運転等を実現することで、大幅な省人化・省力化を図る。要素技術の開発と現場適用を順次進め、2020年までに全体システムとしての完成を目指す。

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