バイオミメティクス技術によりコンクリートの美観を向上

~「蓮の葉」効果で表面気泡と色むらを解消~

  • 建築

2015.07.08

清水建設(株) <社長 宮本洋一>はこのほど、東洋アルミニウム(株) <社長 山本 博>と共同で、水を著しくはじく「蓮の葉」の表面機構を模したバイオミメティクス(生物模倣)技術によりコンクリートの表層品質を向上させる超撥水型枠「アート型枠」を開発しました。本型枠を用いると、美観を損なう表面気泡(あばた)と色むらが大幅に抑制され、美しく高品質なコンクリートを構築できます。

表層部に仕上げを施さない打放しコンクリートには、構造物としての耐久性のみならず、優れた美観が求められます。一方、コンクリートの美観を損なう大きな要因となるのが、脱型後のコンクリート表面に生じる気泡の痕です。この表面気泡は、コンクリート打込み時に巻き込まれた気泡が型枠との界面に残ることで生じます。このため、コンクリート打込み時に振動を加えながら気泡の除去に努めますが、通常の型枠を用いた場合、表面気泡がある程度残ってしまいます。

アート型枠は、蓮の葉の表面機構を模した水をはじく疎水性の微細な凹凸形状を型枠表面に付与したもので、この超撥水層が気泡の除去効果を発揮します。具体的には、型枠表面に付与された超撥水効果により、型枠面に到達した気泡はその場にとどまることなく、浮力によって型枠との界面を滑るように外部に抜けていきます。これにより、脱型後のコンクリートに生じる表面気泡が大幅に抑制され、美しい見栄えのコンクリートが完成します。

アート型枠の超撥水層は、表面気泡を抑制するだけでなく、コンクリートの色むらを解消する効果も発揮します。具体的には、コンクリート表面に転写された凹凸が光を乱反射させることで、表層部各所の明度が均一に高くなり、色むらのない明るい仕上がりになります。

本共同開発では、東洋アルミニウムがコンクリート型枠用の超撥水加工素材・加工方法の検討、当社がコンクリートの美観向上効果の検討を担当しました。両社は今後、工場設備で超撥水層をコーティングする「超撥水合板」に加え、建設現場やPC工場などでの型枠の超撥水加工を想定した「超撥水フィルム」、「超撥水離型剤」の商品開発等、アート型枠の普及に向けた技術展開を進め、建築・土木工事を問わず美観と品質に優れたコンクリート構造物を提供していく考えです。

商標登録出願中

以上

≪参 考≫

1.アート型枠の超撥水効果(塗装合板との比較)
アート型枠
塗装合板
2.アート型枠で成型したコンクリート表面(塗装合板との比較)
アート型枠
塗装合板

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