未来へつなぐプロジェクト

日本で高めたノウハウをアジアの医療施設拡充に生かす

人々の健康な生活を支えるため、世界中で日々進化を続ける最先端医療分野。
その医療施設建設に対して、清水建設では他社に先駆けて30年以上前から専門部署を設立し、
多くの実績と経験を積み重ねてきた。
日本で高めてきた医療施設の建設技術で、世界の医療や福祉に貢献する。
その代表的なプロジェクトが、シンガポールにおける心臓病疾患専門センター、
ナショナルハートセンターの建設工事だ。


専門性の高い人財を育成し、着実に国内実績を築く。

清水建設は、日本の医療施設の施工実績において業界トップクラスのポジションにあり、「医療施設のシミズ」というブランドを確立している。その最大の要因は、医療施設に強い人財を地道に育成してきたからだ。高度な医療機器を組み込む医療施設の建設には専門性は必須条件。そのため、各支店の営業担当者を対象にした社内留学制度を推進している。これは、医療施設の受注支援を担う「医療福祉計画室」に数か月間在籍し、医療コンサルタントとしての実務を経験する制度だ。

また、医療福祉計画室自体も、社内の受注提案支援だけでなく、病院側とダイレクトにコンサルティング契約を結び、施設の建設や維持管理・運営など、医療事業全般の価値向上を提案するなど、医療分野に特化した活動を活発に行っている。こうして積み上げてきた医療施設建設のノウハウを基に、現在、“グローバル展開”という新たなチャレンジを始めている。その代表例の1つがナショナルハートセンター・シンガポールの建設プロジェクトだ。


総合力と実績に裏付けられた提案が高評価を獲得。

同センターは、シンガポール国立総合病院の敷地の一角に建つ。建物内には診療部門の他、外科デイサービス部門、研究開発部門が同一建物内に揃う。当社は2010年11月、価格評価80%、品質評価20%という価格・品質管理方式による国際入札に参加。その結果、価格評価では参加した14社中2位になるも、品質評価で価格以上の高評価を獲得、受注をつかみ取った。

入札時のプレゼンテーションのポイントとなったのは、シンガポール国立総合病院の敷地内での建設であることから、施工プロセスにおいて騒音や粉じん対策、工事車輌の動線計画など既存施設や入院患者への影響を極力抑えるという工事計画。そして、日本における「医療施設のシミズ」というブランドイメージを裏付ける「総合力」だった。

営業活動の最前線に立った柏村は語る。「このプロジェクトは、シンガポールにおいて医療施設の施工実績がない私たちにとっては大きな挑戦でした。しかし、日本での実績、経験、ノウハウがナショナルハートセンター・シンガポールの建設に貢献できることをプレゼンテーションで強くアピールしました」。柏村自身、この入札にあたっては、社内のさまざまな関連事業部門と協議を重ね、プロジェクト体制で提案内容を固めていった。そうして価格評価を上回るだけの品質評価が同センター関係者の心を動かした。それは当社の総合力と実績に裏付けられた提案があってこそのものだった。


国による考え方や基準の違いに対応してこそグローバル。

施工計画の立案にあたっては、「稼働中の病院敷地内にある建設現場」ということが、最も配慮すべき課題となった。施工段階で、もし埋設配管や配線を傷付けてしまった場合、最悪のケースとしては人工呼吸器や手術に影響が出るおそれもあるからだ。工事長の柳生はこう述懐する。「病院への影響が極力少なくなるように、常に気を配っていました。敷地内ではどうしても工事用車輌と救急車の動線が重なる部分が生じてしまう。それをいかに第三者への影響が少ない動線とするか。この問題を起点に搬入口や工事の進捗手順を検討していきました。結果的には、既存病院の動線から最も離れた部分にゲートを設けて、誘導員を常時配置させることで影響を抑えるようにしたのです」。

建設において、国による考え方や基準の違いは、グローバル展開において最も考慮しなければならないことだ。また、騒音に対してもシンガポールには厳密な規制があった。万が一、基準値を超えた場合には罰金刑となる場合もあるほどだ。このため、現場では工事中の騒音値を常にインターネットでアップデートし、規制を管理するシンガポール環境水資源省に報告した。現場正面にある既存病院の窓が開放されているときは、特に細心の注意を払ったと柳生は振り返る。

設備を担当した村上もこう語る。「国によって医療施設や設備への要求品質や考え方の違いがあることを改めて実感しました。例えば、放射線を利用して検査や治療を行う部屋では放射線の遮へいを行う必要があるのですが、その考え方にも違いがあり、当初は驚かされたものです。シンガポールでの要求に応えるために、日本の放射線遮へいの専門工事会社に海外事例を確認してもらうことで情報を集め、検討した上でシンガポールの医療コンサルタントと打ち合わせし、地道に細かい仕様を決定していきました」。

大きな建設プロジェクトになればなるほど、新工法や新素材開発などの話題がクローズアップされるものだが、ゼネコンの実力はそればかりではない。施工、設備、技術開発、営業など、社内の各部門におけるプロフェッショナルたちが密に連携し、まさに「総合力」で建物を完成に導いていく。ナショナルハートセンター・シンガポールの建設は、世界の医療施設に対して日本発の建設技術の高さが証明できた実例として、当社が考えるこれからのグローバル展開への重要な一歩となったのである。

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