トップメッセージ

シミズブランドのさらなる洗練に励み、持続的成長と企業価値向上を目指します。

代表取締役社長 新村 達也
新村 達也
代表取締役社長

創業の精神や「論語と算盤」の教えなどの原点、そして創業以来築き上げてきたシミズブランドは、他社の追随を許さないシミズグループの競争力の源泉です。220年以上にわたり受け継がれてきた揺るぎない価値を礎に、規律ある経営を徹底しつつ、資本効率やガバナンスの向上、成長投資の推進により、持続的な成長と中長期的な企業価値向上の実現を目指します。

変革の現在地と実行に向けた決意

2025年4月に社長に就任して以来、私が一貫して大切にしているのは「失意泰然、得意冷然」の心構えです。逆境にあっても泰然自若として物事の本質を見極め、順境にあっても驕ることなく平常心を保つ。この姿勢を崩さずに業務執行を指揮・統括することは、変化の激しい経営環境を生き抜くうえで非常に重要なことであると思っています。厳しい局面を乗り越え、業績が回復傾向にあるまさに今、経営環境やシミズグループにとってのリスク・機会を冷静に見極め、社会の変化を先読みした価値の創造に取り組む姿勢が必要です。人手不足や高齢化の加速、資材・エネルギー価格の高止まりや労務費の上昇などによる建設コストの増大、DX・省人化への急激な転換などといった建設業界を取り巻く課題に柔軟に対応しつつ、ビジネスモデルの多様化やグローバル展開を加速し、次のステージへの飛躍につなげていきます。

おかげさまで2025年度の当社グループの売上高は2兆578億円(前期比5.8%増)、営業利益は1,186億円(前期比67.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,266億円(前期比91.8%増)となり、過去最高益を更新することができました。シミズグループの役員・従業員が心を一つにして日々の業務に向き合ってきた積み重ねが、足元の改善に結び付いたと捉えています。

業績向上に向けたグループ内の気運の高まりを一過性のものとせず、シミズグループの真の実力として定着させ、持続的成長を実現するために、今後もできるだけ多くの現場を訪れ、従業員の声を直接聞き、こちらの思いも様々な機会・手段で伝えるようにして、全社的な業務改革・意識改革を推し進めていきます。

経営基盤のコアである「人財と組織力」の成長の面では、従業員の働く意欲を高め、切磋琢磨する風土を育みながら、一人ひとりの学びと成長を促し、組織の活性化と生産性向上につなげていくための施策として、役割と職責を重視した人事制度を新たに整備しました。また、従業員へ譲渡制限付株式を付与することにより、当社の業績や株価への意識を高め、企業価値の持続的な向上を図るといった新しいインセンティブプランも導入しました。いずれの取り組みも成果が現れるまでには時間がかかると思いますが、私が先頭に立ち、先例にとらわれることなく、柔軟な発想で必要な改革を推し進め、働きがいのある職場づくりをリードしていく所存です。

中期経営計画の達成と長期ビジョンの実現に向けて

シミズグループは長期ビジョン「SHIMZ VISION2030」の中で、目指す姿を「スマートイノベーションカンパニー」としています。これには、時代を超えてお客様や社会から求められ、持続的に成長していきたいという思いや、本業である建設事業の知見を活かしつつ、事業の枠を超えて知を結集し、事業を創出していくという決意が込められています。また、シミズグループが提供する価値として「安全・安心でレジリエントな社会」「健康・快適に暮らせるインクルーシブな社会」「地球環境に配慮したサステナブルな社会」の実現を掲げ、不断の自己変革と挑戦、多様なパートナーとの共創を通じた、時代を先取りする価値の創造に挑戦しているところです。

私たちシミズグループが様々な価値を提供し続けるためには、まず私たち自身がサステナブルでなければなりません。短期的な利益を追うだけでなく、将来の成長や持続可能性を重んじた規律ある経営を引き続き実践していきます。

長期ビジョンを実現するための実行計画、そして戦略的マイルストーンとしているのが現行の中期経営計画〈2024-2026〉です。本計画を構成する第一の柱として「経営基盤の強化」を挙げ、人財と組織力の成長、そしてシミズグループ内の諸機能の連携を強化することにより、サステナビリティ経営の進化を図っています。私たちを取り巻く経営環境の不確実性が一段と高まる中、持続的な成長を実現するためには、経営基盤と収益力の不断の改善を進めていくことが求められます。2026年度は計画期間の最終年度となりますが、業績目標の達成はもちろんのこと、現中期経営計画に掲げた各種施策に「超建設」のマインドセットで取り組み、次の中期経営計画に向けた「進化の土台」を完成させることにも一層注力していきます。

2030年以降、国内建設市場は人口減少に伴う労働力不足やニーズの変化により、建設業のあり方も次第に変わっていくことが予想されます。従来型のスクラップ&ビルドのビジネスモデルから、リニューアル・リノベーションを軸とした循環型社会の構築へ。その転換点において、私たちは建設という枠を超え、デジタル技術やグローバルネットワークを駆使した価値を提供していくこととなります。次期長期ビジョンでは、より具体的に、どのように社会課題を解決し、どのような未来を提示するのかをお示しする考えです。そして、その実現性を高めるためにも、2030年に向けて収益構造を刷新し、さらなる飛躍に向けた足場固めを完遂します。

ジャカルタ地下鉄 南北線延伸2期 CP202工区の視察風景
ジャカルタ地下鉄 南北線延伸2期 CP202工区の視察風景

原点回帰とは、当社の強みや「シミズブランド」とは

社長就任以降、私は「原点回帰」の重要性を社内外に発信し続けてきました。シミズグループの原点は創業の精神や「論語と算盤」の教えであり、将来にわたり守るべきシミズの歴史・企業文化の根本です。ひと言では語り切れませんが、一つエピソードをご紹介します。

幕末の時代、「外国人が満足に宿泊できる場の確保を」との欧米列強からの強い要望を受け、江戸幕府は1867年、築地に外国人専用ホテルを建設することを決定します。その情報を聞くや、建設の担い手としていち早く手を挙げたのが、当社の二代目店主である二代清水喜助でした。幕府の財政は破綻状態。そこで採用されたスキームは、土地の無償提供の代わりに建設やその後の経営をすべて民間委託するという、現代のPFI事業の先駆ともいえるものでした。二代喜助は工事請負に加え、資金調達やホテル経営をも担うことになります。何から何まで初めての経験の中、諦めずに挑戦を続けた二代喜助の姿勢には頭が下がります。このエピソードに象徴される二代喜助の進取の精神は、時代を超えて今のシミズにも脈々と受け継がれています。

集合写真
北國銀行Hプロジェクト

このような話を語り継ぐことも含め、あらためて役員・従業員が「シミズの原点とは何か」と立ち戻る機会を事あるごとにつくってきましたが、それが少しずつ、会社が目指す方向に対する従業員の納得感、ひいては従業員一人ひとりが働く意味の再認識につながってきていると感じるところです。先日、静岡の現場の竣工式に出席した際、長年お付き合いのあるお客様から「清水建設に仕事を任せると、期待以上のものをつくってくれる。今回だけでなく、これまで頼んできたすべての仕事でそうなんです」というありがたいお言葉をいただきました。従業員が誠実なものづくりの姿勢で業務に励んだ結果として、期待を超える価値を創出し、お客様にご満足いただけたものと思っています。こうした姿勢がシミズグループの競争力の源泉であり、「シミズブランド」を形づくっています。シミズブランドは、現場で汗を流し、真摯にものづくりに向き合う従業員一人ひとりが築き上げてきた信頼そのものです。これからも、誇るべき原点に都度立ち返りつつ、高い技術力と提案力を含むシミズブランドのさらなる洗練に励み、お客様から「シミズだからこそ頼みたい」とお声掛けいただけるよう努力していきます。

ジャカルタMRT南北線2期工事CP202工区の視察風景
定期的に様々な現場を訪問し、従業員と対話
(東京都内 研究施設建設所)

資本効率やコーポレート・ガバナンスの向上に向けて

私たちは、事業活動によって生み出された収益や成果について、すべてのステークホルダーに適切に分配することが、シミズグループの中長期的な企業価値向上と持続的な成長につながると考えています。その実現に向けて、目下、中長期的な目標を10%以上としているROE(自己資本利益率)を着実に高めていくべく、各種施策に取り組んでいきます。本業である建設事業の収益力については、受注前審査の厳格化による採算性を重視した受注判断と受注量管理による消化体制の確保、精度の高い施工計画を実現するフロントローディングの推進などが実を結び、着実な向上が見られます。さらなる高みを目指して、半導体関連施設やデータセンターといった先端分野を含む有望マーケットへの対応力も強化し、高収益な事業体質への転換に継続して取り組んでいきます。

また、資本効率の向上も経営上の重要な継続課題として捉えています。各事業への投資については、取締役会などにおける資本コストに関する議論を踏まえ、財務の健全性と資本効率のバランスを保ちながら行い、事業ポートフォリオの最適化を図っていきます。加えて、人財関連投資や生産性向上・研究開発投資、M&Aなどを含む成長投資についても、資本規律に基づいて進めていきます。

今年に入り、業容拡大に向けた2件のM&Aについて、執行側および取締役会での多面的な検討と精査を経て機関決定しています。まずは本年3月、海洋土木や陸上土木、地盤改良を主力事業とし、各分野で高い技術力と実績を有するあおみ建設(株)がシミズグループに参画。また、米軍基地工事や外資系企業発注のデータセンターを中心とするITインフラ工事に強みを持つAmerican EngineeringCorporation(Okinawa)もグループインすることとなりました。新たな仲間との融合は、単純な規模の拡大を目的としたものではなく、組織の垣根を越えた知見の共有とシナジーの創出により、シミズグループ全体の企業価値を高め、持続的成長をより確かなものとしていくための戦略的な取り組みです。私たちは、中長期的な業績への貢献に加え、「シミズのDNAに合致しているか」という視点も持ちながら、各案件を冷静に判断するよう徹底しています。

投資判断の適切性を担保するための取り組みとして、取締役会の実効性向上は欠かせません。当社では、多様化・複雑化する案件の審議の質の向上を図るべく、各取締役に対する事前の十分な情報提供や様々な対話機会の創出に取り組んでいます。また、役員などの業績向上への意欲を高めるとともに、株価の変動によるリスクとリターンを株主の皆様と共有することで、当社の持続的成長と中長期的な企業価値の向上への貢献意識を高めることを目的として、中期業績連動型株式報酬制度を導入しました。今後もコーポレート・ガバナンス強化に向けた様々な施策に積極的に取り組み、投資判断の質の向上と客観的なモニタリングを継続していきます。

ステークホルダーの皆様へ

私たちは、「子どもたちに誇れるしごとを。」というコーポレートメッセージに込めた想いを実践するという強い信念のもと、歩みを進めていきます。ものづくりは、人間の本能に根差した喜びであり、未来を形づくる高潔な営みです。その魅力を、建設業界の未来を担う若者たちへ、そして社会全体へと発信し続ける責任が私たちにはあります。深刻な技能労働者不足という課題に対しても、職務環境の改善と合わせて建設業に従事することの魅力や喜びを積極的にPRしつつ、外国人財の活躍の場を広げ、多様な人々が輝ける環境を構築するべく、業界を牽引する立場として取り組んでいきます。シミズグループは、これまで築いてきた歴史や伝統、信頼という最大の資産を大切にしながら、決して現状に満足することなく、時代の要請に応え続けます。私たちは、社会とともに歩み、次世代の人々が豊かさと幸福を実感できる未来社会を実現するために、挑戦を止めません。どうかこれからも、シミズグループの持続的成長と企業価値向上の旅路、そしてその先に広がる未来を見守り、温かいご支援を賜りますようお願い申しあげます。

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