1970年代後半から海外に本格進出した私たちの足跡は、世界66カ国にまたがります。建設事業に加え、投資開発事業やエンジニアリング事業など、多様なプロジェクトに携わってきました。現在はアジア、北米、アフリカを中心に、各地域に根差した事業を展開しています。事業環境が複雑化する中、新たな価値を生み出すためには、グループ会社やパートナー企業、部門間の協働が欠かせません。本特集では、組織や企業の垣根を越えて可能性を切り拓く、コラボレーションの取り組みを紹介します。
組織や会社の垣根を越えた事業展開
マップ上の●は当社の海外拠点を示しています。
CASE1 M&A
新たにシミズグループに加わったシンガポール・米国の内装工事会社と連携し、事業領域や顧客基盤の拡大に取り組んでいます。
インドネシアでは大手デベロッパーと戦略的パートナーとなり、地域に根差したまちづくりを進めています。
CASE3 CASE4 社内協業
エンジニアリング事業と建設事業、東南アジアと日本など、事業や地域の壁を越えた協業により、生産体制の高度化や対応力強化を図っています。
CASE1 M&A
シンガポールと米国の内装工事会社をグループ会社化。
両社の顧客基盤を活用し、シミズグループのグローバル事業の領域拡大を加速させます。


新たな仲間と手掛ける内装市場
建設事業のグローバル戦略において、各拠点の経営自立化と並行して注力している取り組みが、M&Aによる外部成長の加速です。この一環として、シンガポールのGrandwork Interior PteLtd(Grandwork社)(2024年11月子会社化)と、米国ニューヨーク州のCross ManagementCorp.(CMC社)(2025年2月子会社化)を、新たにグループの仲間として迎え入れました。
東南アジアで事業を展開するGrandwork社は、高級ブランド店などのラグジュアリー分野で卓越した内装技術を有しています一方、北米において改修・内装工事に強みを持つCMC社は、マンハッタンを中心に金融機関やデベロッパーと深い信頼関係を築いています。
両社に共通するのは、グローバルなお客様への深い浸透力と、付加価値の高いマーケットでの豊富な実績です。当社はこれまで日系のお客様との信頼関係を礎に海外建築事業を展開してきましたが、両社の参画により、新たなお客様との接点も急速に広がっています。
今後は、グローバルネットワークと既存の事業領域に加え、両社が得意な事業領域と顧客基盤を融合させていきます。高級ブランドの店舗内装工事にもお応えできる体制を整え、様々な改修ニーズに対して質の高いソリューションを提供することで、グローバル市場においてお客様から選ばれ続けるパートナーを目指していきます。
マリーナベイ・サンズ屋上の
レストランCÉ LA VI(シンガポール)
源吉兆庵ニューヨーク5番街ビル
(米国)
CASE2 タウンハウス分譲事業
インドネシアのデベロッパーと戦略的パートナーとなり、タウンハウス分譲事業に取り組んでいます。

20年の信頼関係を礎に― 「ポドモロ・パーク」開発への参画
経済成長著しいインドネシア。中間所得層が拡大し、都市部を中心に良質な住宅への需要が高まっています。こうしたニーズに応えるため、当社は、同国不動産市場を熟知する大手デベロッパー、アグン・ポドモロ・ランド(APL)社と、戦略的パートナーシップを締結しました。
現在、APL社とのコラボレーションの第一弾として、タウンハウス分譲事業に着手しています。舞台となるのは、APL社グループが西ジャワ州の州都バンドゥンで進める大規模住宅プロジェクト「ポドモロ・パーク・バンドゥン」です。130ヘクタールの敷地に約3,500戸の住宅を開発する計画のうち、当社は5ヘクタールの区画において、中間所得層と若年層向けに約400戸の住宅を供給します。
APL社との関係は、20年以上前に当社が施工に携わった「パクヴォノ・レジデンス」プロジェクトがきっかけでした。長年にわたり築いてきた信頼関係を礎に、当社の技術力や事業推進力と、APL社の現地マーケットにおける知見、開発力を組み合わせ、地域に根差したまちづくりを進めています。本事業を通じて同社との連携をさらに深め、インドネシアにおける住宅インフラの拡充と、当社のグローバル事業の持続的な成長につなげていきます。
CASE3 キユーピーテネシー工場建設プロジェクト
建設・エンジニアリングが一体となり、設計・調達・施工まで連携。
米国における食品製造工場の建設プロジェクトを成功に導きました。

国や事業の垣根を越えて
米国を拠点に専ら建設事業を生業とするShimizu North America LLC(SNA社)と、日本を中心にプラント事業を展開するエンジニアリング事業本部。「キユーピーテネシー工場建設プロジェクト」は、そんな両者の強みを掛け合わせることで、お客様のご期待に応えることができた好事例です。設計段階から日米が一体となり、それぞれの強みを活かして事業を遂行しました。
本プロジェクトはSNA社が受注し、エンジニアリング事業本部が生産設備工事の技術支援を実施しました。両者の共同作業を支えたのが、BIMのプラットフォームです。3Dモデルを活用し、BIM上で建屋と生産設備・配管を統合的に調整。オンライン会議やクラウド環境を活用して日米でレビューを重ねることで、設計段階から課題を可視化し、迅速な解決につなげました。
時差や業務慣行の違い、日本で培った技術的知見を米国基準へ適用する難しさもありましたが、日米の技術者が連携しながら施工管理や検査、試運転調整を進め、高品質な生産施設の実現に貢献しました。
CASE4 マニラBIMサポートセンター
世界各地で培ったBIM専門組織の知見を日本へ展開。
グローバルな生産体制を構築し、グループ全体の競争力強化を加速させています。

品質と競争力を両立するBIM生産の最適解
BIMは、建物情報をデジタル上で統合し、設計・施工・維持管理の各プロセスをシームレスにつなぐ手法です。アジアをはじめ海外では、BIM活用が広く浸透しています。当社のグローバル事業は、そうした環境下で求められる高度なBIM要件に適応することで、確かな技術力を磨いてきました。2021年にはマニラにBIMサポートセンターを設立し、現在は各国拠点のBIM業務を力強く支援しています。
近年、同センターの活用範囲を、当社の日本国内事業へも拡大しました。マニラとの連携は、当社が守り続ける品質基準とコスト競争力を高次元で両立させるとともに、日本が抱える担い手不足を補完し、持続可能な生産体制を支えています。また、グループ内でBIMデータを一貫して管理する体制は、お客様の大切な設計・工事情報を、より安全かつ適切に扱うことにもつながっています。
今後は建築分野に加え、需要の高まりが見込まれる設備分野への対応力を拡充します。さらに、DXやICTソリューションの研究開発も視野に入れ、多様化・高度化するプロジェクトニーズに、グローバルな知見で応え続けていきます。