「シミズ スマート・フロアー・ファクトリー」を提案

~生産ラインの自由な変更、省エネ・省スペースを実現~

  • 建築

2014.07.31

清水建設(株)<社長 宮本洋一>は、生産施設の事業性を大幅に向上させるソリューションとして、生産ラインの自由な変更と省エネ・省スペースを実現する新たな設計コンセプト「シミズ スマート・フロアー・ファクトリー」の提案活動を展開します。適用第一号となったコマツ粟津工場(石川県小松市、当社設計施工)がこのほど本格稼働を開始し、関係者から高い評価を得ています。

生産施設の設計提案に際しては、事業性を向上させる提案づくりが最大の課題になります。これまで要素技術を組み合わせることで対応していたことから、当社は生産施設の計画のあり方を抜本的に見直し、従来にない設計コンセプト「シミズ スマート・フロアー・ファクトリー」を考案しました。

このコンセプトの特徴は、スマート・フロアーと呼ぶ床により、平屋建て2層形式を実現したことです。2層とは、生産ラインを配置するスマート・フロアーの上層とフロアーの下に全面的に設ける深さ3m程度のピット(床下部分)を意味します。ピット内には、従来1階の床上に配置していた空調機、分電盤、ケーブルラック、生産ラインのユーティリティ類を収納します。スマート・フロアーは、脱着できる矩形のPC床板で構成し、ピット内に設ける柱の頭部に渡したH型鋼製の梁上に設置します。コマツ粟津工場の場合、生産ラインを勘案して4m角のPC床版を採用しました。

シミズ スマート・フロアー・ファクトリーがもたらす最大のメリットは、生産ラインの変更を自由に行えることです。これは、下層を全面ピットにすることで、従来、生産ライン別に設置していた個別のユーティリティピットが不要になるためです。個別ピットは設置位置を容易に変更できないため、生産ラインの変更に際して大きな制約条件になります。各種製品に対する市場ニーズが目まぐるしく変化し、ライン変更の頻度が高まる傾向にある中、その制約がなくなることは事業者にとって大きなメリットです。

また、本システムは省エネ効果も備えており、生産施設において膨大になりがちな空調の電力使用量を20~30%削減できます。これは、ピット全体を空調ダクト、スマート・フロアーを空調空気の吹出口として利用することで可能になります。ピット内に設置した空調機を稼働させると冷たい空気はピットの底部から溜まっていき、やがてスマート・フロアーに設けた噴出口から緩やかに漏れ出しフロアー上に溜まっていきます。この方式により、作業者の活動空間(高さ2m程度まで)に限定して空調できるので空調効率が向上します。コマツ粟津工場の場合、工場全体を空調する従来方式に比べ空調の電力使用量を30%削減できるとともに、地中熱と地下水熱を利用して空気を冷却する技術を併用した結果、トータルで約50%の削減を見込んでいます。

もう一つのメリットは、省スペース効果です。この効果は、従来、床上に設置していた機器・ラック類をピット内に収納することによるものです。上層でそれらの設置スペースが不要になるので、工場の床全面を生産スペースとして利用できるようになりました。

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