床版切断の作業時間を45%短縮「走行台車付きダブルワイヤーソー工法」

当社は、高速道路や橋梁を構成する合成桁のコンクリート床版取替工事において、ワイヤーソーによる床版水平切断作業の高速化・精度向上に寄与する「走行台車付きダブルワイヤーソー工法」を開発しました。

ワイヤーソー工法とは、躯体にダイヤモンドワイヤーを巻き付けて高速回転をさせることで、コンクリートなどを切断する工法です。新工法では、ワイヤーソーの回転速度を向上させる2体の駆動プーリー(滑車)を配備した高性能ワイヤーソーと、切断高さを保持するガイドプーリーにより、床板の水平切断の高速化および高精度化を実現します。この切断装置とレール上を移動する走行台車を組み合わせることにより、切断作業に要する時間を従来工法と比べて約45%程度縮減できます。

合成桁…鋼桁と床版を一体化したもの

ダブルワイヤーソー工法の切断装置。走行レールに沿って移動し、床板を水平切断する(枠内はワイヤーソーによる切断の様子)
ダブルワイヤーソー工法の切断装置。走行レールに沿って移動し、床板を水平切断する(枠内はワイヤーソーによる切断の様子)

走行台車付きダブルワイヤーソー工法の概要

本工法の切断装置には、ワイヤーソーの回転速度を向上させるための2体の駆動プーリーと、切断高さを保持するためのガイドプーリーが備え付けられています。切断装置を橋軸方向に走行させて、床版を切断する際、2体の駆動プーリーによって従来よりも速く切断することができるうえ、ガイドプーリーによって、桁上床版の切断ラインを桁の上端からわずか20mmに設定することができます。これにより、残コンクリートの撤去のためのウォータージェット作業が大幅に削減されます。

動画:合成桁床板切断の高速化技術の開発(4:25)

メリット

1.切断作業時間45%短縮

ダブルワイヤーソー採用による切断能力の向上だけでなく、床版上に敷設した走行用レールの長さに応じて連続的に切断作業が行えるため、走行台車移動による分解組立回数を最小限にすることができます。

2.残コンクリート厚さ60%低減

ガイドプーリーで切断高さを保持し、残コンクリート厚さを50mmから20mmに低減することが可能です。

切断速度の向上だけでなく、ガイドプーリーによって切断ラインを50mmから20mmに縮減
切断速度の向上だけでなく、ガイドプーリーによって切断ラインを50mmから20mmに縮減

3.安全性向上

全て桁上での作業となるため、ガイドレールや補助プーリーの桁下設置が不要となり、作業員の安全性も大幅に向上しました。

4.湿式切断/乾式切断の両方に対応

コンクリートの切断は、騒音や振動、粉塵の発生を抑える理由からほとんどが湿式で行われますが、切断装置のガイドプーリー付近に乾式用集塵カバーおよび集塵ユニットを取り付けることで、湿式切断が困難な現場にも対応することができます。

乾式用集塵カバーおよび集塵ユニットを付けることで乾式切断にも対応
乾式用集塵カバーおよび集塵ユニットを付けることで乾式切断にも対応

5.横断勾配にも対応

左右の独立したガイドプーリーによって高さを簡単に調整することができるため、勾配を持つ橋脚の床版切断も装置を止めずに作業することが可能です。

左右のガイドプーリーは個別に高さを設定できるため、横断勾配を有する床版切断にも対応できる
左右のガイドプーリーは個別に高さを設定できるため、横断勾配を有する床版切断にも対応できる

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