2026.09.02
清水建設(株)<社長 新村達也>はこのほど、山岳トンネル施工の安全性・生産性の一層の向上を目的に、移動式LiDARを用いて掘削精度をリアルタイムに計測・評価する切羽計測システム「S-LiRT(Shimz LiDAR Real-time Tracking system)」を開発・実用化しました。掘削精度のリアルタイムの計測・評価は機械式掘削の精度を向上させるとともに、機械掘削、発破掘削を問わず、LiDARが切羽近傍での目視による計測作業を代替し安全性を向上させます。
山岳トンネルの施工では、トンネル設計断面に対して岩盤が出っ張った状態の「アタリ」や掘り過ぎた状態の「余掘り」が生じます。アタリ部分は切削、余掘り部分は吹き付けコンクリートで埋める作業を伴うので、掘削精度を高めアタリ・余掘りを減らすことが生産性向上に直結します。また、これまで掘削精度の確認作業は切羽近傍からの目視に頼っており、無人化が求められていました。
S-LiRTはこうしたニーズに対応した切羽計測システムで、トンネル両側面に設置する2台のLiDARとLiDARが移動する2本のレールから構成されます。特に機械式掘削に有効で、2台のLiDARが常時、双方向から3次元点群計測することで、掘削機のブームの陰による死角を補完しリアルタイムに切羽形状の絶対座標を取得できます。取得した絶対座標は即座にアタリ・余掘り量に変換、掘削機の運転席に設置されたモニタに色分け表示され、オペレーターがモニタを確認しながら操作することでアタリ・余掘りの発生を抑制できます。発破掘削の場合、モニタはアタリを切削する油圧ブレーカーの運転席に設置されます。
一方、2本のレールは切羽天端から45度範囲の立入禁止区域外の側壁部にボルト固定し、トンネルの掘進に合わせて最後尾の部材を取り外し、前方に盛り替えていきます。LiDARは、計測作業時にはレール最先端に移動、発破やズリ出し作業時にはレール最後尾に移動し作業に起因する破損を防止します。
本システムの実用化に当たっては、機械掘削を進める日田山国道路1号トンネル本坑1工区と発破掘削を進める米子自動車道三平山トンネル工事で性能実証しました。
その結果、シンプルで比較的安価な機構ながら、現場での使い勝手に優れ、安全性・生産性が向上することを確認しています。当社は今後、S-LiRTを山岳トンネル工事の標準技術、またオートメーション化に向けた要素技術の一つに位置づけ、現場実装を推進していく考えです。
以上
≪参 考≫
S-LiRTの現場運用状況(発破掘削の場合)
施工中のトンネルの余掘り・アタリ量を示したCG。黄色い部分は新たに約1m掘削した部分で、計画面を若干上回る大きさで掘削していることがわかる。既掘削区間には壁面保護のためにコンクリートが吹き付けられているので、掘削の計画面より断面が小さくなっているので赤色表示されている。
日田山国道路1号トンネル本坑(1工区)工事概要
| 工事場所 | 大分県中津市山国町守実 |
|---|---|
| 発 注 者 | 大分県 |
| 施 工 者 | 清水・河津・小田開発工業特定建設工事共同企業体 |
| 工 期 | 2024年3月~2027年10月 |
| 工事概要 | 工事延長1,332m、トンネル掘削工1,325m |
米子自動車道三平山トンネル工事概要
| 工事場所 | 鳥取県日野郡江府町大字助澤~岡山県真庭市蒜山上徳山 |
|---|---|
| 発 注 者 | 西日本高速道路株式会社 |
| 施 工 者 | 清水・竹中土木特定建設工事共同企業体 |
| 工 期 | 2023年1月~2028年12月 |
| 工事概要 | 工事延長4,460m、トンネル掘削工2,309m |
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