2026.08.18
清水建設株式会社
東京科学大学
清水建設(株)<社長 新村達也>と東京科学大学<理事長 大竹尚登>はこのほど、既存建物の価値を最大化する「建物アップサイクル技術」の確立に向けて、産学協働の研究拠点を立ち上げました。清水建設が持つ建設プロジェクトの専門的知見と東京科学大学が持つ多様な学術的知見を融合させることで、従来の建て替えや改修に代わる新たな選択肢「建物アップサイクル」を提起。産学協働で、その実現に必要な研究・技術開発を進める方針です。
新たに東京科学大学に設置した「清水建設みらいの建築生産協働研究拠点」(拠点長・吉敷祥一東京科学大学教授)は、既存建物における構造体の再利用と外装リノベーションをテーマに建物アップサイクルに必要な技術開発を進める産学協働の研究拠点です。設置期間は2029年7月31日までの3年間。要素技術の確立に向けた研究を加速させるなど、これまで必ずしも十分でなかった構造体の再利用と外装リノベーションの技術革新をリードしていきます。
共同研究が目指すのは、新築よりも低コストかつ短工期で、既存建物を高い資産価値と魅力を持つ建物へとアップグレード再生する新たな建築生産モデルの構築です。従来の建設市場で常識となっていたスクラップ&ビルドの発想を転換。柱・梁・床などの主要な構造体を再利用する技術と、外装リノベーションの技術を高度に掛け合わせることで、既存建物を新築にも劣らない構造性能、環境性能、意匠性能を持つ建物へと生まれ変わらせる建物アップサイクルを実現します。
取り組みの背景には、建物の脱炭素化の実現など、いまや社会的な要請となっている環境問題への対応と、昨今の資材価格や労務費の高騰による建設コストの上昇があります。今後、リニューアル需要のさらなる増大が見込まれる中で、新築に比べて、低コストかつ短工期という特長を併せ持つ建物アップサイクルは、改修に合わせて構造性能や環境性能を引き上げることができる、新たな建築生産の手法と言えます。特に主要な構造体の再利用は、サーキュラーエコノミーの観点からも高い環境価値を発揮します。
共同研究の主要テーマとなる既存構造体の再利用と外装リノベーションのうち、柱・梁・床などの主要な構造体の一部を再利用して、新たな建物を建設する手法は既に実践されていますが、現在のところ、既存構造体を再利用する場合の健全性評価手法や、評価結果に基づく耐用年数の予測手法、判断基準は確立されていません。
一方の外装リノベーションも、意匠性を向上させるための外壁カバーリング工法(既存の外壁の上から新しい外装材を被せる手法)や断熱性を高められる2重サッシ工法など多くの技術・工法が存在していますが、いずれも既存の外装材をベースにして新たな機能・性能を付加するものが中心で、外装のデザインを大きく変えるような自由な設計が難しいという現状があります。
清水建設と東京科学大学は、既存構造体の再利用と外装リノベーションを高度に融合させた建物アップサイクル技術を駆使して、従来の建て替えや改修に代わる新たな建築生産モデルとしての展開を目指します。今後、建材メーカーなどの積極的な参画を促すことで、新技術の開発を推進すると同時に、共同研究によって得られた成果や開発技術を早期に実際のプロジェクトに適用していく方針です。
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