2026.07.16
清水建設(株)<社長 新村達也>が技術提案型入札で受注し、2025年9月に着工した東京大学赤門改修工事(東京都文京区、東大赤門)が現場を完全に覆う素屋根の中で着々と進んでいます。東大のシンボル・赤門は老朽化と耐震性を鑑み2021年2月12日以降閉門されています。今回の工事は、文化財補助金及び東京大学創立150周年記念事業「ひらけ!赤門プロジェクト」寄付を受け「赤門周辺の歴史的環境保全事業」の一環として計画されたもので、伝統技術と先端技術の融合により赤門の補強・修復を図ります。赤門は東大創立150周年、赤門創建200年に当たる2027年秋に再び姿を現し、開門する予定です。
東大赤門は国の重要文化財に指定されている貴重な旧御守殿門です。切妻造、本瓦葺で、両脇に唐破風造の番所を備えています。門の型式は薬医門と呼ばれ、屋根の中心である頂部の棟の位置が屋根を支える6本の柱の中心より若干表側に寄っていることが特徴です。東大赤門の場合、頂部の棟が6本柱の中心より本郷通り側に50cmほど寄っており、表側の4本の柱により多くの荷重がかかっているため、比較的不安定な構造になっています。
そこで、今回の改修工事では、①赤門を構造的にバランスさせる、②屋根を軽量化して赤門に作用する地震力を低減する、③本柱4本と内側にある控え柱2本の継手を補強する、④両脇の番所に耐震壁を組み込む、ことにより、地震に強い赤門に再生します。当社は技術提案に当たり、仮設素屋根を既存屋根面に支柱が不要な独立屋根として施工性を向上させることや、本郷通りの通行の妨げにならないように現場の入退場ゲートを大学敷地内に設置する仮設計画などを立案。それらが総合的に評価され、最優秀提案に選定されました。
不安定な構造に対しては、赤門裏側の控え柱2本の柱脚に設置する鉄筋コンクリートの錘(カウンターウエイト)各2.8tと柱下部を貫く横架材(貫)を連結することで、バランスさせます。この錘が地震時に屋根が本郷通り側に倒れようとする際に門裏側の柱に生じる引抜き力に対抗します。また、6本の柱は過去の改修工事で施された足許の継手部に炭素繊維補強を施します。瓦屋根は、土葺きから釘止めの空葺きに改めることで屋根重量を5t近く軽量化します。両脇の番所については、内部の壁の漆喰をいったん解体した後、柱・梁の枠の中に木製の耐震壁を組み込み、その上に新たに漆喰壁を設けます。耐震壁が地震時の番所の変形を抑制します。
一方、職人に受け継がれてきた伝統木造技術に加え、先端技術である3Dスキャンを用いて改修工事のDX化を図ります。赤門の絶対的な建物寸法を3次元点群データという子細なデジタル記録として取得する測量手法を採り入れており、形状が複雑な部位の復元時に高精度な取得データを定規として活用する予定です。
当社は引き続き、祖業である宮大工の技術・文化を連綿と継承していくとともに、伝統木造技術と先端技術の融合を図りながら、国内の歴史的建造物の保存に寄与する考えです。
≪参 考≫
東大赤門
旧加賀藩上屋敷の御守殿門で、1827(文政10)年に加賀藩主の前田家13代斉泰が第11代将軍徳川家斉の21女・溶姫を迎える際に造られたもので、国の重要文化財に指定されています。徳川家から嫁を迎える大名家の慣習として、新たに住居と御守殿門を構えて門を赤く塗り、そして姫が他界すると門を取り壊していました。溶姫の場合、明治期まで存命だったため慣習が踏襲されず御守殿門が残されました。このため、現存する御守殿門は貴重な存在です。
閉門前の東大赤門(東京大学提供)
外周メッシュシートに描いた等身大の赤門
控え柱2本の柱脚に設置した鉄筋コンクリートの錘(カウンターウエイト)
瓦と土葺きを撤去後の屋根部
両脇の番所内の様子
東京大学赤門改修その他工事概要
| 場 所 | 文京区本郷7-3-1 |
|---|---|
| 発注者 | 国立大学法人東京大学 |
| 設計者 | 公財)文化財建造物保存技術協会 |
| 施工者 | 清水建設(株) |
| 工 期 | 2025年9月11日~2027年9月30日 |
| 構造・規模 | 木造、1階、48m2 |
以上
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