2026.06.26
清水建設(株)<社長 新村達也>はこのほど、木質バイオマスを炭化させたバイオ炭を混合して製造する環境配慮型コンクリート「SUSMICS-C」について、優れたアンモニア放散抑制効果を検証・確認しました。今後、「SUSMICS-Ca」(SUstainable + SMI(炭) + Carbon Storage + Concrete for ammonia)という名称で、CO2削減とアンモニア放散抑制を同時に実現する国内初のソリューションとして、徹底したアンモニアの濃度管理が求められる美術館や博物館、半導体製造施設への適用を進めます。実用化第1号は泉美術館(広島市)で、来年4月に打設予定です。
アンモニアガスは、コンクリートの構成材料であるセメントや混和剤から発生し、美術館や博物館の展示収蔵品の劣化、半導体製造施設における製品不良の原因となります。そのため、室内のアンモニア濃度の管理および低減対策が欠かせません。東京文化財研究所は美術館や博物館の室内アンモニアガス濃度の推奨値を30ppb以下としており、文化庁は濃度が推奨値以下のレベルに減衰するまでにコンクリートの打設から開館までに夏を二回越す“枯らし期間”の確保が必要としています。また、半導体製造施設でもppbオーダーの濃度管理が求められます。このため当社は、「持ち込まない」「発生させない」「ためない」「除去する」を基本とするアンモニア濃度低減ソリューションを提供し、清浄な室内環境を実現しています。
SUSMICS-Cは、オガ粉などの木質バイオマスを炭化させたバイオ炭を製造過程で混合することにより、木質バイオマスが空気中から吸収したCO2を難分解性の炭素としてコンクリート中に固定するコンクリートで、低炭素セメントと組み合わせることでカーボンネガティブも実現可能です。当社は、バイオ炭の化学物質吸着能力に着目し、SUSMICS-Cに用いるセメント種とバイオ炭、混和剤の配合量の最適化により、コンクリートから放散されるアンモニアを低減できると考え、その効果を検証してきました。その結果、コンクリート1m3あたりバイオ炭を80kg混合したSUSMICS-Cが強度をはじめとする所定の品質を満たしたうえで、アンモニア放散量を75%程度、CO2排出量を80%程度削減することを確認しました。
泉美術館の床には、バイオ炭を20kg/m3混合した設計強度24N/mm2のSUSMICS-Caを計250m3打設します。試算結果では、アンモニア対策を行わない同量の普通コンクリートからはトータルで260ℓのアンモニアガスが放散されますが、SUSMICS-Caからは47ℓに留まります。今回は、開館までにコンクリート打設から二 夏を越す枯らし期間を確保しますが、当社は打設後の館内の空気質モニタリング調査を実施し、アンモニア室内濃度の推奨値をいかに短期間でクリアできるかを検証します。理論的には、枯らし期間を普通コンクリートの1/5程度に短縮できる可能性があります。
当社は今後、空気質モニタリング調査の結果を踏まえ、SUSMICS-Caをアンモニア濃度低減ソリューションに組み込むことで清浄な室内環境の創出期間の短縮を図るとともに、SUSMICS-Cの付加価値を高める研究開発を継続し、建造物の品質向上と地球環境に貢献する考えです。
≪参 考≫
泉美術館
| 建 設 地 | 広島県広島市中区三川町(老舗旅館「世羅別館」跡地) |
|---|---|
| 構造・規模 | S造、地上6階建て |
| 延床面積 | 2757.26m2 |
| 工 期 | 2026年4月~2028年4月末 |
| 開 館 | 2029年春を予定 |
| 参考情報 | 西区商工センターにある現在の施設は、流通大手「イズミ」の創業者・山西義政氏(故人)が収集した国内外の洋画や日本画、彫刻コレクションなどを所蔵。創業の地の近くで新たなスタートを切ることを目的に建て替えが計画された。 |
バイオ炭
木材やもみ殻などのバイオマス(生物資源)を、酸素を制限した環境下で350℃超の温度で加熱(熱分解)して作られる固形物。植物が成長過程で吸収したCO2を、分解されにくい安定した炭素の状態で長期間固定化できるため、カーボンネガティブを実現する技術として注目されている。
東京文化財研究所
1930年に設置された帝国美術院附属美術研究所を母体とし、無形文化財を含む文化遺産全般の調査研究、保存科学・修復技術に関する調査研究、文化遺産に関する国際協力を総合的に進めている他に類例がない研究所。
以上
ニュースリリースに記載している情報は、発表日現在のものです。ご覧になった時点で内容が変更になっている可能性がございますので、あらかじめご了承ください。ご不明な場合は、お問い合わせください。