2026.02.19
清水建設(株)<社長 新村達也>の東京木工場(江東区木場2丁目)は、3期約4年に及ぶ全面建て替えプロジェクトを経て、本日、竣工を迎えます。着工は2022年3月で、これまで既存施設群全11棟を順次解体・機能移転しながら「来客棟」と「工場棟」を順次建設し、2棟への機能集約を進めてきました。
東京木工場は、1884(明治17)年に清水組の木材加工場として現在地に開設され、多くの匠によって磨かれ、受け継がれてきた精巧な木工技術は数多くの歴史的建造物にも採用されています。東京木工場の施設群は、戦後の経済成長とともに工場設備を拡充しながら木工事の需要に応えてきましたが、老朽・狭あい化から工場としての機能向上や作業・執務スペースの集約による業務効率化に向け、2021年4月に全面建て替えを機関決定しました。
建て替え前の東京木工場は、工場や事務所棟など11棟、総延床5,555.45m2の施設群から構成されていました。着工後、木工場の稼働を続けながら、順に解体、新築を進め、第1期工事(2022年3月~23年7月)として「来客棟」を建設。完成した来客棟を仮工場として使用しながら、第2期工事(23年8月~25年2月)で「工場棟」を建設し、分散していた工場機能を工場棟に移転・集約する一方、事務所の機能を本来の来客棟に移転。最後の第3期工事(25年3月~26年1月)でエントランスとなる「森のギャラリー」や植栽により都市を潤す「体験の森」などの外構工事を行い、全ての建て替えプロジェクトが完了。東京木工場は、建て替えプロジェクトのコンセプトに掲げた「木の文化・技術・魅力の発信拠点」に生まれ変わりました。
木工場に相応しく、工場棟、来客棟、森のギャラリーには386m3もの木材を使用。工場棟と来客棟では、仕上げ材だけでなく、屋根と耐震壁などの構造体に木材を使用し、かつ構造体を木現しにすることで、両棟の意匠を特徴づけています。また、竣工式では、東京木工場の新たな門出を祝すとともに永続的な発展を祈念して「検尺の儀」を執り行います。こうした伝統的な儀式を通じた「匠の心」の伝承も東京木工場の大切な使命の一つに位置付けられています。
当社は引続き、東京木工場において木の伝統技術を連綿と継承していくとともに、「木の文化・技術・魅力の発信拠点」として宮大工を祖業とする当社のブランディングにも活用していく考えです。
≪参 考≫
新・東京木工場の施設概要
工場棟(S造一部木造3階建て、延床面積3,814.98m2)
- 1階は技術開発ゾーン。木材の精密加工が可能な多軸ロボットやNC(数値制御)加工機をはじめ、プレス加工機、研磨機など最新工作機械を駆使して木材の新たな可能性を拡げていきます。さまざまな大きさの木造・木質建築の架構に対応できるよう、吹き抜けの大空間を備えています。
- 2~3階は伝統技術ゾーン。伝統の木工技術により製作・加工・組み立て・仕上げを行うとともに、塗装、梱包まで一貫した作業が行えます。伝統技術に加え、レーザー加工による細密な加工にも対応します。3階の「kino style」コーナーでは、株主優待品が評判を呼び、外販されるまでになった数々の木工場製品を手に取ることができます。
工場棟(左)と事務棟
来客棟(S造一部木造2階建て、延床面積1,354.26m2)
- 1階の中央部は資料館となります。メイン展示として、東京木工場がこれまでに手掛けてきた有名建築の内装を原寸展示しています。例えば、歌舞伎座の舞台や国立西洋美術館の丸柱と型枠、大阪・関西万博の大屋根リングの木組み、有明体操競技場の観客席などで、それぞれの特徴やエピソードを画像で解説します。
- 1階のマルチルームでは、木の文化と魅力を多くの人に知ってもらえるよう、見学希望者や地域の児童・住民の方々を対象に木工教室などの木育イベントが開催可能です。敷地内の緑豊かな「体験の森」は木育の生きた教材となります。
- 来客棟の2階には事務室と会議室を配置しています。
新技術
- 主要2棟の耐震壁(構造壁)は、木材により構成されています。工場棟は集成材による「CLT耐力壁」を採用し、来客棟は一般流通材による「高耐力木質面材壁」を 採用しており、スリムで高い構造耐力と木質ならではの温かい質感を兼ね備えています。
- 工場棟の屋根架構(スパン15.9m)は、上弦材に集成材を使った「スリム耐火ウッド張弦梁」を、下弦材に鋼材を用い、上弦材の圧縮力と下弦材の引張力により、無柱の大空間を実現。スリム耐火ウッド張弦梁構造は、耐火性能を有する革新的な木質構造として、ロングスパンの建物への採用拡大が期待されています。
- 一方、来客棟の屋根架構(スパン10.8m)には、新開発の「木質アーチ梁・千鳥継手システム」を採用しています。梁の構成に大きな特徴があり、中材とこれを両側から挟み込む側材を千鳥状に配置し、クサビとビスのみの簡易な接合ながら、明確な弱点をつくらずに力を伝達する新しい仕組みです。一般流通材を使用した均一部材の組み合わせによって、さまざまなスパンの木質構造を実現することができます。
写真左が工場棟、右が事務棟の屋根構造
木材利用
工場棟に用いたCLT耐力壁は48枚(合計416m2)、来客棟の高耐力木質面材壁は36枚(216m2)で、耐震壁の木材使用量は工場棟が87m3、来客棟が26m3。また、両棟での木質架構の適用により、最上階天井の木材使用量は工場棟(天井面積1,054m2)が127m3、来客棟(539m2)が65m3で、これに仕上げ材の木材を加えた今回の建替えプロジェクトの木材使用量は工場棟232m3、来客棟95m3、森のギャラリー(木ルーバー)59m3を合わせ、全体で386m3となりました。
検尺の儀
東京木工場では、年始に開く新年拝賀式において、安全と品質向上を祈念する仕事始めの伝統行事として「検尺の儀」(検尺式)を1965年から続けています。竣工式では、東京木工場の新たな門出を祝すとともに永続的な発展を祈念して「検尺の儀」を執り行います。古くから材料の長さなどを確認・測定するための道具として用いられた「検尺棒」を桧材で作り、これに鉋仕上げと墨掛けを施し、水引と末広(扇)を取り付けて丁重に祀る神事です。
以上
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