AIが省エネ性能とコストを両睨みで評価、顧客最適なZEB化計画を提案

清水建設（株）＜社長 新村達也＞は、カーボンニュートラル社会の実現に寄与すべく、AIを活用して建設コストと省エネ性能を両睨みで評価し、顧客最適なZEB化計画を立案する「脱炭素コンサルティング事業」を展開します。これにより、お客様の保有施設の価値と投資対効果の最大化を支援します。用途や規模により異なりますが、費用は延床面積1万m²あたり概ね500万円からで、期間は3か月程度となります。すでに、（株）京葉銀行＜藤田剛頭取、本社千葉市＞が脱炭素経営の一環として本サービスを導入、同社支店のZEB化に向けた投資判断の材料として活用しています。

カーボンニュートラルの実現に向け、新築建物は2030年までに、ストック平均でも50年までにZEB化が求められており、建物のZEB化はもはや企業経営の大きな課題になっています。一方、建設コストが上昇するなか、脱炭素化に直結する企業のファシリティマネジメント（FM）投資の効率化・合理化も欠かせません。そこで当社は、設計時にZEB提案を担う自社開発のAI「ZEB SEEKER_®」にコスト検討等の機能を搭載し、脱炭素コンサルティングを展開することにしました。こうした機能を備えたAIはZEB SEEKERだけで、競合する開発事例は報告されていません。

もともとZEB SEEKERは数万の設計案を自動探索し、最適なZEB仕様を導き出す機能を備えたAIで、すでに400棟以上の建物のZEB提案へ採用されています。省エネ性能に関わる設備については、一般的に普及している技術を網羅的に扱えるほか、各設備機器性能のメーカー値をデータベース化し、実用性を高めています。新たに開発したコスト検討機能は、エネルギー関連機器や建材、施工に関する1,000項目にも及ぶコストデータベースをもとに概算コストを算出するものです。データベースを適時更新することで物価変動に対応します。

脱炭素コンサルティングに当っては、初めに顧客が保有する施設群のエネルギーデータを分析し、建て替えや改修による省エネ効果が期待できる施設を抽出・選定します。対象施設の確定後は、省エネ性能に影響する最大70種類の可変要素、例えばガラス種別や空調方式などの各仕様について顧客ニーズをヒアリングし、事業特性を踏まえて5段階評価します。ヒアリング項目は顧客の事業特性により異なります。

最終的には、建て替え・改修対象の施設の3Dモデルを構築し、ヒアリング結果をZEB SEEKERに入力します。すると、2～3日のうちに数万ケースにも及ぶ設計案を導き出し、その中から目標の省エネ性能（BEI:建築のエネルギー効率）、顧客予算（コスト指数）、事業特性（事業適合性）を最も満足する設計案を提案します。これにより、顧客の投資対効果を最大化します。

当社は引き続き、アジャイル開発によりZEB SEEKERのブラッシュアップを図るとともに、脱炭素コンサルティングを積極展開し、カーボンニュートラルの実現に寄与していく考えです。

なお、企業等における優れた省エネ・脱炭素の取り組みや先進的で高効率な製品・ビジネスモデル等を表彰する一般財団法人省エネルギーセンター主催の「2025年度省エネ大賞」の製品・ビジネスモデル部門において、ZEB SEEKERを活用した脱炭素コンサルティング事業は資源エネルギー庁長官賞を受賞しました。