Robo-Welderが7軸のロボットアームで溶接技能者同等の生産性を実現

~設置手間の削減と溶接作業の高度化で生産性が向上~

  • 建築

2025.04.24

清水建設(株)<社長 新村達也>はこのほど、先に開発した溶接ロボットの機能を抜本的に見直し、ロボットアームの7軸化で作業範囲を拡大し、かつ溶接技能者と同様のトーチ動作、溶接技能者との品質チェックの協業を可能にした改良版「Robo-Welder」を開発・実用化しました。都内の大規模複合施設の現場において、改良版の優れた生産性を実証済みです。

当社は業界でいち早く溶接ロボットを開発・実用化し、現場適用を進めるとともに、平行してロボットの設置・解体手間の削減、作業範囲の拡大、溶接性能・品質の向上を課題に掲げ、技術開発に取り組んできました。改良版「Robo-Welder」はプロトタイプ同様、開先形状(溶接部)のセンシング機能と溶接トーチを搭載した6軸のロボットアームがベースになりますが、ロボットアームを旋回式台座(ピボット型台座)に据えて7軸化し、作業範囲を倍増させたことが大きな特長です。この結果、大断面鉄骨柱に対しても、柱の両側に各1台、計2台設置すれば設置替えなく全周溶接できるので、1日当たりの溶接作業量が改良前に比べて10%超増大します。

続く特長は、ロボットアームを改良し、極めて熟練の溶接技能者に近いトーチ動作を実現したことです。具体的には、溶接線を対称軸にしたトーチの反復(ウィービング)移動のスムース化や溶接点に対するトーチの角度調整が可能になりました。同時にトーチの移動速度やワイヤー(溶接材料)の送り出し速度の自動制御を可能にしたことにより、ボックス柱のコーナー部や対の溶接ロボットとの継ぎ目部分(会合部)の溶接品質についても確実に確保できるようになりました。

一方、先進技術を開発するだけでなく、手持ち時間が多くなる溶接技能者とロボットの協業体制も確立。溶接技能者が溶接作業に欠かせない品質チェックとスラグの除去作業を担うことにより、確実な溶接品質の確保とロボットの仕組みの簡素化を図りました。

Robo-Welderの溶接能力は時間当たり10~12mで、品質ともに溶接技能者と同等です。1日当たりの溶接作業量については、ロボットの設置・解体作業があるので溶接技能者には及びませんが、溶接技能者1人で少なくともロボット2台を操作できるので、溶接技能者一人当たりの1.75倍に向上します。また、習熟すると溶接技能者1人・ロボット4台体制が可能です。

有資格の溶接技能者は、全国でも1,000名程度しか登録されていないので、ゼネコンにとって溶接技能者の確保は容易ではなく、鉄骨造の躯体工期を左右する存在になっています。加えて夏場の溶接作業は過酷な環境下になること、溶接ヒュームが発がん性物質に認定されたことから、溶接作業のロボット化が急務になっています。このため当社は、早々に改良版Robo-Welderを現場に水平展開し、溶接技能者不足を補うとともに、溶接作業の環境改善を進めます。

≪参 考≫

改良版Robo-Welderと仕様

実験中のRobo-Welder
【実験中のRobo-Welder】鉄骨柱から伸び出たシルバーの部位が旋回式台座

【仕様】

寸  法 全長1,250mm、全幅440mm、全高850mm
重  量 120kg/台
電  源 3相200V
溶接方法 ガスシールドアーク溶接
適用鋼材 490~590N/mm2級鋼
対応柱サイズ 1,000mm以下で全周溶接
溶接能力 10~12m/h(6mm換算)
Robo-Welder

以上

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