密閉・吊下げ構造のベルトコンベヤ「SCプレミアムベルコン」をダム現場に実装

~バッチャープラントから堤体へのダムコンクリート運搬を効率化~

  • 土木

2024.11.08

清水建設(株)<社長 井上和幸>はこのほど、ダム建設工事の生産性向上に寄与するダムコンクリート運搬設備「SCプレミアムベルコン」を福井県池田町で施工中の足羽川ダム本体建設工事(発注:国土交通省近畿地方整備局)に導入し、現場での運用を開始しました。SCプレミアムベルコンは、古河産機システムズ(株)の協力のもと開発した密閉・吊下げ構造のベルトコンベヤ設備です。当設備では、搬送物を袋状に丸めた搬送ベルトの中に包み込んで運搬するため、バッチャープラント(コンクリート製造設備)で製造したコンクリートを堤体の打設場所まで、材料分離を防ぎつつ効率的に運搬できます。

ダム建設工事では、全体工期の過半を占める堤体コンクリート打設の効率化が工事全体の生産性向上の鍵を握ります。堤体コンクリートの打設は、ダムコンクリートの製造・運搬・打ち込みを繰り返す連続作業であり、打設効率を高める上で、運搬能力の向上は不可欠な要素となります。

ダムコンクリートの運搬では、従前から、ダムサイトの法面に設置したベルトコンベヤを利用してコンクリートを連続的に搬送する手法が利用されています。ただ、一般的な平ベルトコンベヤを利用した場合、搬送傾斜角度が大きくなると比重の大きい粗骨材等が運搬中に滑落するリスクが高まります。このため、急傾斜の法面にベルトコンベヤを適用する場合、傾斜角度を緩和するため切り返し部を設ける必要が生じ、その分、運搬効率が低下します。そこで当社は、急傾斜の法面でも直線的に配置でき、運搬効率を最大化できる新たなベルトコンベヤ設備として、SCプレミアムベルコンを開発しました。

SCプレミアムベルコンは、袋状ベルトコンベヤ、コンクリート供給用ベルトフィーダ、コンベヤ用プーリー・ローラー・モーターから構成されます。袋状ベルトコンベヤは吊下げ構造の搬送システムで、上部のローラーにベルトの両端を挟み込むことで袋状の搬送スペースを形成し、搬送ラインにコンクリートを供給するベルトフィーダとの合流部では、上部が開口する仕組みとなっています。

ダムコンクリートの運搬能力は、45度の急勾配に設置した場合で1時間あたり最大280m3、大型ダムで通常使用される固定式ケーブルクレーンと比べて2.8倍の能力を有します。本工事では、バッチャープラントの製造能力に合わせて1時間あたり最大180m3の運搬速度で運用しており、今後、固定式ケーブルクレーンと併用しながらコンクリート打設の効率化を図ります。

以上

≪参 考≫

「足羽川ダム本体建設工事」の概要

所在地 福井県今立郡池田町小畑地先
発注者 国土交通省近畿地方整備局
施工者 清水建設・大林組特定建設工事共同企業体
工期 2020年8月~2028年3月
構造・規模 重力式コンクリートダム
堤高96m、堤頂長350.6m、堤体積670千m3
用途 洪水調節(流水型ダム)

足羽川ダム本体建設工事に実装したSCプレミアムベルコン

足羽川ダム本体建設工事に実装したSCプレミアムベルコン

袋状ベルトによるコンクリート運搬イメージ

袋状ベルトによるコンクリート運搬イメージ

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