2024.06.28
清水建設(株)<社長 井上和幸>は、人体への有害性が指摘されている有機フッ素化合物(PFAS)を含む汚染土壌について、米国内で採取された実汚染土壌を対象に当社独自の土壌洗浄技術を用いた室内浄化試験を行い、PFAS含有量の約99%を対象土壌から除去できることを確認しました。当浄化試験は、米国のエンジニアリング企業、ロスアラモス・テクニカル・アソシエイツ社(Los Alamos Technical Associates, Inc)とアマリロ・カレッジ(Amarillo College)の協力のもと、2023年6月から同国テキサス州内で進めてきたもので、今回の試験結果により、PFAS汚染土壌に対する当社洗浄技術の有効性が実証されました。今後、米国内に小規模プラントを構築し、プラントスケールでの技術実証に取り組む計画です。
PFASは、疎水基と親水基を併せ持つ界面活性剤としての特性を有する人工化合物で、熱に強く、水と油の両方をはじく特質を備えることから、コーティング剤や泡消火剤など多様な製品に使用されてきました。一方、PFASは「永遠の化学物質」とも呼ばれ、自然環境では分解されにくい性質を有することから、環境や生体への残留性・蓄積性が問題視されるようになり、製造・輸出・使用の禁止や水道水等に対する水質管理目標の設定などの規制が世界各国で広まっています。
特に規制面で先行する米国では、2024年4月に、有害物質による汚染の浄化に関する責任原則を定めた環境保護法「スーパーファンド法」の対象物質に、PFASの代表的物質であるPFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)とPFOA(ペルフルオロオクタン酸)が指定され、PFAS汚染土壌の浄化ニーズが顕在化しています。
当社が保有する土壌洗浄技術は、汚染物質を土壌の細粒分に集積させる分級手法と、水中の泡の表面に汚染粒子を付着させて分離・回収する泡沫分離法(フローテーション)を組み合わせたもので、洗浄処理土の浄化品質を最大限高めることができます。洗浄処理土は埋戻し等に再利用でき、焼却等の2次処理が必要な濃縮汚染土を大幅に減容化できることから、土壌処理コストの削減も見込めます。
当社は2021年度から、PFAS汚染土壌の浄化ニーズの顕在化を見据え、自社の土壌洗浄技術を活用したPFAS除染技術の開発を進めてきました。実汚染土壌を用いた今回の室内浄化試験では、PFAS含有量の約99%を土壌から除去することに成功し、洗浄水に残存するPFASについても、約99%を除去できることが確認できました。
今後、小規模プラントでの浄化試験を通じて、プラントスケールでの処理性能を実証し、米国市場で処理実績を重ねた後、将来的に、日本国内でのPFAS汚染土壌浄化事業の展開を目指します。
以上
≪参 考≫
米国でのPFAS汚染土壌の室内浄化試験
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