コンクリート表層の凝結遅延効果が長時間持続する打継ぎ面処理剤を開発

~コンクリート工事の働き方改革をサポート~

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2022.12.01

清水建設(株)<社長 井上和幸>はこのほど、日本シーカ(株)<社長 番馬健一>と共同で、コンクリート工事の働き方改革に資する打継ぎ面処理剤「ルガゾール-919UR」を開発しました。この処理剤は、コンクリート打継ぎ処理の効率化を目的に両社が2020年に共同開発した増粘型の凝結遅延剤「ルガゾール-919」に従前比3倍の凝結遅延性能を付与したもので、打継ぎ面に形成される脆弱層(レイタンス)の凝結を72時間にわたり抑制します。これにより、従前はコンクリート打設の翌日に行う必要があったレイタンスの除去作業を3日後までに行えばよくなり、土日閉所の建設現場で金曜日にコンクリートを打設した場合でも、休日を挟んでの打継ぎ処理が可能になります。

打設直後のコンクリートの表層部には、余剰水とともに不純物が浮上し、レイタンスと呼ばれる1~2mm程度の薄い脆弱層が形成されます。レイタンスが打継ぎ面に残存するとコンクリートの品質低下を招くため、打継ぎ前にレイタンスを除去しておく必要があります。このレイタンスの除去作業を打継ぎ処理と呼び、通常は、打設後のコンクリート表層部に凝結遅延剤を散布し、レイタンスが硬化する前に高圧水等を用いて除去します。

当社と日本シーカ(株)が2020年に開発した「ルガゾール-919」は、アルカリ増粘剤を含有した凝結遅延剤で、コンクリートのアルカリ成分に触れると粘性を増す特性があります。このため、コンクリートの打設直後に散布しても成分が希釈・流出せず、余剰水の収束を待たずに散布できる利点があります。また、特定の噴霧器を使用すれば泡状にして散布できるため、散布状況の視認性が高まり、経験の浅い作業員でもムラなく散布できるのも大きなメリットです。

他方、ルガゾール-919の凝結遅延効果の持続時間は24時間にとどまり、休前日にコンクリートを打設して処理剤を散布した場合、打継ぎ処理を休日に行わなければレイタンスが硬化してしまうことになります。建設現場の週休2日推進が建設産業全体の課題となる中、処理剤の凝結遅延効果が72時間持続すれば、金曜日に打設したコンクリートのレイタンスを、土日を挟んだ月曜日に円滑に除去できるようになります。新たに開発した「ルガゾール-919UR」では、ルガゾール-919の凝結遅延成分(オキシカルボン塩酸)に、セメントへの吸着力・浸透力の異なる複数の配合成分をバランスよく付加することで遅延性能の大幅な向上を実現しました。

本製品の製造・販売は日本シーカ(株)が手掛け、10月から1缶(18kg)あたり2万9000円で一般販売を開始しました。

以上

≪参 考≫

「日本シーカ株式会社」概要

本  社 東京都港区元赤坂1-2-7 赤坂Kタワー7階
代 表 者 代表取締役社長 番馬 健一
資 本 金 4億9000万円
設  立 1955年
事業概要 各種土木・建築・工業用化学製品の製造・販売と研究開発
ルガゾール-919UR
ルガゾール-919UR
ルガゾール-919URの散布状況
ルガゾール-919URの散布状況

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