2022.07.20
清水建設(株)<社長 井上和幸>は先ごろ、コンクリートの凝結時間制御技術「アドバンストコンクリートフィニッシュ工法(ACF工法)」を建築構造床の施工に初適用しました。ACF工法は、当社とデンカ(株)が仕上げ作業を伴うコンクリート施工の生産性向上・品質向上を目的に共同開発したもので、特長は、粉末状の混和材を生コン車に投入するだけで、コンクリートの凝結を促進できることです。適用対象は、当社が栃木県内で施工を進めている「獨協医科大学日光医療センター」のスラブ・梁、約90m3のコンクリート打設で、建築構造部材への適用に先立ち、一般財団法人日本建築総合試験所の建設材料技術証明を取得しています。
仕上げ作業を伴うコンクリート施工は、施工場所にコンクリートを打ち込んだ後、コンクリートが凝結するのを待ってから表層を平滑化し、養生の準備を整えた段階で終了します。コンクリートの凝結は気温が低くなるほど遅くなるため、寒冷期には、仕上げ作業に入るまでの待機時間が長期化し、状況によっては作業の終了時刻が深夜に及ぶこともあります。また、コンクリートの凝結が遅れると、練混ぜ水の一部がコンクリート表面に上昇するブリーディングが長時間に及び、コンクリートの沈下ひび割れ等、表層部分の品質低下につながる懸念もあります。
こうした課題を解決するため、耐寒促進剤、早強剤、硬化促進剤等の液体状の混和剤を利用する場合もありますが、生コン工場で事前に試験練りを重ねたうえで配合設計を行う手間がかかります。一方、ACF工法では、現場に到着した生コン車に凝結促進用混和材(ACF-W)を必要量投入し、ドラムを高速攪拌して均一に分散させるだけで、セメントの水和反応が活性化し、凝結促進効果が得られます。凝結促進効果は気温が低くなるほど高くなり、寒冷期でも通常期と同等の凝結速度を確保できるため、仕上げ作業に早期に着手することが可能になります。これにより、作業従事者を長時間勤務から解放でき、施工品質の向上も図れます。
適用現場では、冬期の低気温環境下、コンクリート1m3あたり3.3kgのACF-Wを添加し、表面積約500m2のスラブ・梁を施工。ACF-Wの凝結促進効果により、仕上げ作業に着手するまでの待機時間を通常工法と比べて3時間程度短縮することができました。引き続き、仕上げ作業を伴う寒冷期のコンクリート施工にACF工法を積極的に展開し、作業従事者の働き方改革、仕上げ面のコンクリート品質の向上につなげていく考えです。
以上
≪参 考≫
凝結促進用混和材(ACF-W)
生コン車への混和材の投入状況
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