虎ノ門・麻布台プロジェクトA街区でDX（デジタルトランスフォーメーション）を推進

清水建設（株）＜社長 井上和幸＞は港区で施工中の虎ノ門・麻布台地区第一種市街地再開発事業（虎ノ門・麻布台プロジェクト）A街区新築工事において、当社の建築工事現場のデジタル化コンセプト「Shimz Smart Site」を実践し、最先端のデジタルなものづくり技術とリアルなものづくりの知恵を融合させることで、超大規模現場の施工にチャレンジしています。その一環として、現在、現場内の通信やコミュニケーション、情報共有など施工管理のデジタル化を担う新開発のデバイス「SmartStation」の配備を進めるとともに、近未来の現場事務所を想定した統合監視室から各種デジタル情報の集中監視を始めています。

A街区に新築する複合棟は、地上64階､塔屋2階、地下5階､延床面積約46万m²の超大規模ビルです。規模相応の大物量及び曲線が多いデザインに対応する施工は非常に難易度が高く、生産性向上にはデジタル技術が欠かせません。新開発のSmartStationは施工管理を効率化するデジタルデバイスで、分電盤の機能を包含します。2タイプあり、ベースタイプを「スマート分電盤」、タッチディスプレイ搭載の多機能タイプを「スマートステーション」と称します。複合棟全体で、計127台、スマートステーションは5フロアごとに各1台設置します。

共通の機能は、360度カメラによる監視、Wi-fi環境の構築、遠隔からのブレーカー操作及び使用電力量監視、トリップ（異常）監視等の各機能です。一方、スマートステーション固有の機能は、Web会議、工程表などの帳票類及び図面類の閲覧、分散朝礼のガイド、当日の現場の作業内容や資材の搬入・揚重状況などの確認などの各機能です。このため、当社の施工管理者や作業員は手ぶらで現場に出ても、スマートステーションを介して、必要な時に必要な人同士がコミュニケーションを図り、施工に関する必要な情報を得ることができます。また、建物全包囲のWi-fi網の構築は、超・超高層エリアにおいても自動搬送等のロボットの自律運行や、写真・動画の高精細・低遅延での送受信が可能なので、ストレスなくデジタルを活用した施工管理を行うことができます。

A街区におけるデジタル化の取り組みは、中期デジタル戦略2020で示した柱の一つ「ものづくりをデジタルで」を建築工事現場で実現するデジタル化コンセプト「Shimz Smart Site」に基づくものです。BIMモデルを基盤とするデータプラットフォーム上で、デジタル管理（Management）、ロボット施工（Robot work）、BIM生産連携（Digital Fabrication）を展開しています。

デジタル管理では、すでに入退場や健康状態などの作業員管理から、車両の入退場管理、地下水位や山留等の現場の安全管理、品質や出来高等の施工管理、各所に設置した監視カメラから送信されてくる映像データの分析などをデジタル技術で効率化しています。また、統合監視室「Smart Control Center」では、55インチのディスプレー33体を介してデジタルデータを集中監視しています。

ロボット施工については、溶接に続き、資材の自動搬送、床貼り、巡回を行う自律型ロボットを順次投入します。作業指示を与えて稼働するアシストロボットにより、石膏ボードの切断や岩綿の吹付、清掃なども行う予定です。また、BIM生産連携では、設計者が作成した設計データをBIMデータに展開して、見積から発注、施工に至る各種業務を効率化しています。例えば、鉄骨の見積・発注、複雑な形状をした部位の納まりや施工方法の検討、デジタル承認、3次元曲面部材の3Dプリンティングなど、様々な業務にBIMデータを展開しています。

当社は今後、A街区で実践するデジタルなものづくりのノウハウを国内外の現場に水平展開し、生産性の向上、現場の働き方改革に結び付けていく考えです。