構造計算モデルと構造 BIM モデルのデータ連携を拡充

~BIM モデルで構造関連情報を一元管理~

  • 建築

2021.02.22

清水建設(株)〈社長 井上和幸〉はこのほど、構造BIMモデル(Revitモデル)による構造関連情報の一元管理ならびに構造設計業務の一層の効率化に向け、一貫構造計算プログラム(以後、同プログラム)で作成した構造計算モデルとRevitモデルのデータ連携を拡充する差分変換機能及びRevitモデルのデータから柱や梁の部材断面表を自動作成する機能を構築しました。すでに10物件に適用して両機能の有効性を確認しており、今後、全社の設計部門に水平展開します。

当社は現在、設計者が作成するBIMデータを施工から製作、運用段階まで連携させるシステム「Shimz One BIM」の整備を進めています。こうしたBIM化の流れに対応するため、構造設計者は同プログラムにより構造部材の断面や配置間隔などの構造計算モデルを決定し、Revitモデルに変換。その際、同プログラムの解析対象外の間柱や水平梁などの構造二次部材や構造計算後に行う部材の微妙な配置(寄り寸法)調整の結果については、設計者がRevitモデルに入力し反映します。

一方、設計条件の変更に伴い構造計算プログラムで再計算した場合、構造計算モデルの修正部分をRevitモデルに反映する必要があります。しかし、従来の市販データ変換ソフトを用いると、設計者が再計算前にRevitモデルに入力した構造二次部材や部材の寄り寸法が消去されるので、再び入力や調整の手間が生じます。また、構造計算結果から作成していた部材断面表については、構造関連情報の一元管理に向け、Revitモデルから作成できるように改める必要がありました。

そこで当社は、再計算で生じた構造計算モデルの変更部分を特定したうえで当該部分のみをRevitモデルに上書き・更新する差分変換機能を構築し、データ変換ソフトに組み込みました。また、部材断面表については、市販ソフトを当社基準にカスタマイズし、最新の構造情報が反映されているRevitモデルから自動作成できるようにしました。

両機能を47階建て、延床73,500m2の超高層マンションの構造設計業務に適用した結果、1回あたり7人日程度要していたデータ変換と部材断面表の作成業務が1人日程度で済みました。特に大規模プロジェクトの上流段階では設計検討が頻繁に繰り返されるため、大幅な省人化効果とともに、設計検討業務に集中する時間増とそれによる設計品質の向上が期待されます。

当社は引き続き、建物の設計段階から運用段階に至るまで一貫したデータ連携を図るShimz One BIMの整備を推進するとともに、関連業務を効率化していく計画です。

以上

≪参 考≫

一貫構造計算プログラム

RC造・S造・SRC造・混構造などさまざまな建築物について、建物の規模や形状、部材の材料や寸法、固定荷重などの各種データを入力することで、部材剛性や部材応力の計算、部材断面の検定などを一貫して行う構造計算プログラム。

データ変換の手順

最初に構造計算モデルを中間データに変換し、続いて中間データをRevitのアドインソフト(データ変換ソフト)である「SSC-構造躯体変換(ソフトウエアセンター製)」で読み込み、Revitモデルに変換する。新たに構築した差分変換機能は、SSC-構造躯体変換に組み込んでいる。また、部材断面表作成ツールは、RevitアドインソフトのSLM for Revit Structure(販売:ソフトウエアセンター)をカスタマイズしたもの。

データ変換方法の比較

データ変換方法の比較

差分変換システムのフロー

差分変換システムのフロー

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