簗川ダムの堤体コンクリート打設が間もなく完了

~ダムコンクリート自動打設システムを初適用~

  • 土木

2019.06.12

清水建設(株)<社長 井上和幸>が、(株)鴻池組、(株)平野組との共同企業体(清水建設JV)により岩手県盛岡市内で進めている簗川ダム建設工事において、ダムの堤体を構築するコンクリートの打設工事が7月末にも完了します。堤体コンクリートの総打設量は23万m3で、打設工事には2017年4月に着手しました。現在までの打設量は22万1千m3、進捗率は95%に達し、そのうち3万m3の打設に自社開発した「ダムコンクリート自動打設システム」を初適用しました。

簗川ダムは、盛岡地区東部における洪水・渇水被害の防止を目的に計画されたもので、一級河川北上川水系の簗川の中流に位置します。規模は、堤高77.2m、堤頂長249.0m、堤体積23万m3、総貯水容量1,910万m3、受注金額は約156億円、工期は2014年12月~2021年3月までの76カ月です。

堤体コンクリートの打設工事は当初、2017年4月から2019年11月までを予定していましたが、昼夜の連続打設、施工の合理化等により打設工期を4カ月短縮し、2019年7月までに完了する見込みです。毎年12月1日~3月31日の間は積雪・寒冷期のためコンクリート打設を休止しており、実働20カ月での完了となります。

堤体コンクリートの打設に当たっては、国土交通省が提唱する「i-Construction」を推進すべく、ICTを活用して、購入骨材の貯蔵管理をはじめ、夏季と厳寒期における温度ひび割れ防止のための骨材の冷却・加温管理、堤体の内外温度差管理、打設時の締め固め管理等に対応できるシステムをそれぞれ確立し、堤体コンクリートの品質確保に万全を期しました。また、設計段階から予定されていたプレキャスト監査廊に加え、プレキャスト部材を随所に採用することで省人化を図りました。

一方、コンクリートの製造・運搬・打設を繰り返し実行する打設作業の生産性向上を目的に導入したのがダムコンクリート自動打設システムです。同システムは、バッチャープラント(コンクリート製造設備)への材料供給から軌索式ケーブルクレーンによるコンクリート運搬・打設までの一連の作業を完全自動化するもので、2018年4月のシステム実装後、同年9月から試験適用を開始しました。冬期の休止期間を経た今年4月からの本格適用後、打設作業のサイクルタイムについて約10%の短縮を実現しています。

清水建設JVは引き続き、工期・品質の確保に努めるとともに、無事故・無災害で21年3月の竣工を目指します。

以上

≪参 考≫

簗川ダム建設工事の概要

所在地 岩手県盛岡市川目地内
水系河川名 一級河川 北上川水系 簗川
事 業 名 簗川ダム建設(堤体工)工事
発注者 岩手県 盛岡広域振興局
受注者 清水建設(株)・(株)鴻池組・(株)平野組特定共同企業体
型   式 重力式コンクリートダム
規   模 堤高77.2m、堤頂長249.0m、堤体積23万m3
工   期 2014年12月11日~2021年3月31日
現場の状況(6月12日現在)
現場の状況(6月12日現在)

ダムコンクリート自動打設の流れ

  • 施工管理者がコンクリートバケット(鋼製容器)の運搬先となる打設位置の三次元座標、投入するコンクリートの配合種別等のデータを入力する。
  • 施工管理者が作業開始を指示すると、バッチャープラントが稼働し、コンクリート配合種別に応じた骨材・セメント・水等の材料計量、練混ぜ、トランスファーカ(運搬台車)への積載を自動的に行う。
  • 続いて、トランスファーカがバケット位置まで移動し、コンクリートをバケットに積み替える。
  • 最後に、軌索式ケーブルクレーンがバケットを打設位置まで運び、コンクリートを投下する。これら一連の作業が全自動で連続的に実行される。
  • さらに、バッチャープラントへの材料供給もシステムが自動管理し、プラント内の骨材量が不足すると骨材貯蔵設備から自動供給される。

「ダムコンクリート自動打設システム」はこのほど、一般社団法人日本建設機械施工協会が主催する2019年度日本建設機械施工大賞・大賞部門において最優秀賞を受賞しました。

ダムコンクリート製造・運搬設備の構成
ダムコンクリート製造・運搬設備の構成

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