触媒添加型ポリウレタン系止水材「NLクイック」を開発

~地下コンクリート構造物の漏水を短時間でシャットアウト~

  • 土木

2018.06.14

清水建設(株)<社長 井上和幸>と、防水・止水工事の施工会社などで構成するピングラウト協議会<会長 柿崎隆志>はこのほど、防水材メーカーの(株)ダイフレックスの技術協力を得て、地下のコンクリート構造物に生じた漏水を短時間かつ確実に止水できる触媒添加型ポリウレタン系止水材「NLクイック」を開発・実用化しました。今後、ピングラウト協議会会員企業が手掛ける防水・止水工事への展開・普及を進め、インフラ構造物の長寿命化に貢献していく考えです。

一般に、地下鉄や道路・鉄道トンネルなどの地下コンクリート構造物には、地下水の水圧が作用しているため、経年劣化した構造体にひび割れなどが生じると、漏水の原因となります。清水建設とピングラウト協議会は2005年、地下の厚壁コンクリート構造物の漏水対策技術として、補修跡を目立たせず確実に止水できる高圧注入方式の「スマート止水工法」を共同開発し、実工事への展開・普及に努めてきました。

この工法は、構造物の壁厚の中心を越える位置まで削孔した直径10㎜程度の穴から加水反応型ポリウレタン系止水材を高圧注入するものです。この止水材は、水と反応してゆっくりと発泡・膨張しながら、微細なひび割れの深部まで浸透し、反応終了後に堅固な発泡体となり、恒久的な止水効果を発揮します。一方、止水材の加水反応は緩やかに進行するため、漏水量が多い現場で求められる迅速な止水処置への対応が難しいという課題がありました。

そこで、清水建設とピングラウト協議会は、同工法に適用する新たな止水材として、触媒の作用により短時間で発泡硬化に至る触媒添加型ポリウレタン系止水材「NLクイック」を開発しました。NLクイックは、加水反応型ポリウレタン樹脂に専用触媒を添加した止水材で、触媒量に応じて反応時間を制御することができます。触媒を2%(標準)添加したNLクイックの発泡完了時間は、温度23℃の環境条件下で約3分と、従来の加水反応型止水材の1/7程度です。NLクイックの開発により、現場の漏水状況に応じた止水材の使い分けが可能となり、止水工事の生産性の向上が期待できます。

以上

≪参 考≫

ピングラウト協議会について

1986年に、全国100社に及ぶ防水・止水専門工事会社が設立した、加水反応型ポリウレタン樹脂注入止水工法「ピングラウト止水工法」の施工団体。これまで会員企業が手掛けた同工法の施工実績は、一般の鉄筋コンクリート構造物をはじめ、発電所、トンネル、橋梁、ダム、浄水場、下水道など5,000件を超える。

NLクイックの発泡硬化反応

NLクイックの発泡硬化反応

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