コンクリートのこわばりを低減する混和剤「チキソリデュース」を開発

~静置した後もコンクリートの流動性を保持し、施工性を確保~

  • 土木

2017.07.10

清水建設(株)<社長 井上和幸>はこのほど、混和剤メーカーの(株)フローリック<社長 尾﨑恵三>と共同で、コンクリートを静置した時に生じるセメント粒子の凝集等により、コンクリートがこわばって施工性が低下する現象を抑制できるコンクリート用混和剤「チキソリデュース」を開発しました。練混ぜ直後のコンクリートにチキソリデュースを添加することで、ポンプ施工時の圧送や鉄筋間隙内への充填の妨げとなるコンクリートのこわばりを低減でき、コンクリートの施工性が著しく向上します。

コンクリートには、外力を加えていると流動性を保ち、静置するとこわばりが生じて流動性が損なわれる「チキソトロピー」と呼ばれる性質があります。打ち込み中にコンクリートがこわばると、鉄筋間隙内への充填や、ポンプ施工での圧送が困難となり、品質上の不具合や作業効率の低下につながります。一方、コンクリート施工の現場では、ポンプによる圧送作業の中断時や、場所打ち杭コンクリート施工での配管切り替え時など、一定時間、コンクリートが静置状態に置かれる状況は避けられません。そこで当社は、静置時もコンクリートの流動性を保持し、圧送再開時の配管閉塞や未充填等の不具合を未然に防止するこわばり低減剤「チキソリデュース」を開発しました。

チキソリデュースは、特殊ポリマーを配合した粉末状の混和剤です。水溶性の紙袋に梱包した状態で使用し、コンクリート1m3当たり1袋(250g)をトラックアジテータやコンクリート工場のミキサに投入し、攪拌・分散させることで、こわばり低減効果を得られます。この効果は、均一に分散した特殊ポリマーがセメント粒子間に入り込み、静置時のこわばりの原因となるセメント粒子の凝集や沈降を抑制することによるものです。効果検証実験の結果、練混ぜ直後にチキソリデュースを添加したコンクリートでは、1時間静置した後もこわばりは生じず、静置前の流動性が維持されていることが確認できました。

都市部の地下工事の大深度化に伴い需要の増大が見込まれる長距離圧送、コンクリートの未充填による不具合の発生が懸念される場所打ち杭や逆打ち部のコンクリート施工など、チキソリデュースの活躍の場は多岐にわたります。今後、当社の施工現場での適用を進めるとともに、外販も行う計画です。

以上

≪参 考≫

チキソリデュースのこわばり低減効果

ニュースリリースに記載している情報は、発表日現在のものです。ご覧になった時点で内容が変更になっている可能性がございますので、あらかじめご了承ください。ご不明な場合は、お問い合わせください。