阿蘇神社災害復旧工事が本格化

~国指定重要文化財・楼門等を解体修理、調査~

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2017.03.02

清水建設(株)<社長 井上和幸>は現在、宗教法人阿蘇神社様からご下命頂いた阿蘇神社(熊本県阿蘇市)の熊本地震災害復旧工事において、楼門や神殿など国指定重要文化財6棟の再建にむけた解体・調査、修理を進めています。楼門を覆う素屋根の中では、銅板屋根の剥ぎ取りが終わり、熟練の宮大工の手により小屋組と呼ぶ屋根を支えていた材料の解体に取り掛かっています。

阿蘇神社は約2,300年の歴史があり、全国に約500の分社があります。昨年4月に発生した熊本地震では、江戸時代末期に造営された楼門を初めとする、国指定重要文化財6棟が甚大な被害を受けました。日本三大楼門の一つといわれる楼門は全倒壊、三の神殿は損壊、一の神殿、二の神殿、神幸門(みゆきもん)と還御門(かんぎょもん)は部分損壊しました。当社の請負の内容は、楼門の解体・調査と他の国指定重要文化財5棟の部分解体・修理です。

楼門は、入母屋造、唐破風、二階建ての非常に風格のある造りになっていました。当社は昨年末までに、楼門全体を覆う、高さ9.8m、幅22.5m、奥行25.3mの素屋根を建設、1月の初めから上層の屋根部より順に解体を進めています。解体した部材は境内に新設した保存倉庫に全て移管し、部材の損傷状況ついて調査しています。解体が終わり次第素屋根を解体し、再建工事に備えます。

神殿群については、すでに損壊の激しい三の神殿の部分解体・修理に着手しており、順に二の神殿、一の神殿へと作業を進めます。何れも国指定重要文化財のため、造営当時の姿に戻すこと、伝統構法を踏襲すること、構造上必要があれば添え木・金物等で補強し出来るだけ元の部材を再利用すること等が求められています。手順としては、初めに建物の骨組に付随する浜縁や組物、木階段、内法長押(うちのりなげし)、天井、床などの造作部材を解体し、骨組みを露にして、柱の傾きや造作部材の再利用の可否、補修の要否等を調査します。必要があれば柱を建て起こした後、木製建具の建付調整、造作部材の復旧を行い神殿を元の姿に戻します。神幸門、還御門については、本柱と屋根部の間に組み込まれていた組物が脱落したため、屋根をジャッキアップして組物を補修・組み直した後、屋根をジャッキダウンして元に戻す計画です。

これまでの工事の主な経過は、まず、着工前の昨年10月17日から阿蘇山噴火(10月8日)による降灰の処理、楼門の雨避け養生を行い、10月31日に起工。11月7日から三の神殿の部分解体・修理に着手、12月1日から27日にかけて楼門を覆う素屋根を建設し、年明けの1月10日から素屋根の中で楼門の解体に取り組んでいます。

当社は引続き、重要文化財の工事を慎重に進めていくとともに、「おんだ祭」をはじめとする阿蘇神社の主なる祭事のスケジュールを守りながら、伝統木造技術の粋を結集して、阿蘇神社の復旧・復興に尽力していきます。

以上

≪参考≫

工事概要

  • 工事名称重要文化財阿蘇神社一の神殿ほか5棟保存修理工事(災害復旧)
  • 建 築 主宗教法人 阿蘇神社
  • 設計・監理公益財団法人 文化財建造物保存技術協会
  • 施   工清水建設株式会社
  • 場   所熊本県阿蘇市一の宮町宮地3083-1
  • 敷地面積41,297m2
  • 建築面積350.458m2
  • 延床面積881.138m2
被災した阿蘇神社全景
素屋根内、解体工事中の楼門
楼門を覆う素屋根

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