2016.11.18
清水建設(株)<社長 井上和幸>が2007年に開発した、超精密環境生産施設・研究施設向け高性能免震システム「マルチステップ免震」の適用実績がこのほど、海外案件も含めると8棟、延床面積50万m2を突破しました。マルチステップ免震は微振動抑制と地震対応の免震機能を兼ね備えた高性能免震システムです。このシステムにより、平常時には生産・研究施設の生産機能に影響を及ぼす微小な揺れを抑制、大地震時には被害を最小化し早期復旧に寄与します。
一般的に、免震構造を採用した建物では、強風や建物内の生産装置類の振動により免震装置が変形し、建物全体に微小な揺れが発生する可能性があり、これを抑制することが求められます。当然のことながら、大地震時には被害の最小化が最重要マターになります。
こうしたニーズに対応したシステムがマルチステップ免震で、平常時には非免震構造のように揺れにくく、地震時には高い免震機能を発揮する建物を実現します。 このシステムは、通常の「積層ゴム」、微小な揺れを抑制する「剛すべり支承」、免震層の動き出しを滑らかにする「弾性すべり支承」の3種類の免震装置を組み合せ、建物の特性に合わせて最適配置します。
平常時対策としては、剛すべり支承の摩擦抵抗により、一年に何度かある強風や建物内の生産装置類の振動に起因する免震装置の変形を防止し、建物に生じる微小な揺れを抑制します。これにより、ナノレベルの微細加工を施す生産装置が稼働可能な超精密環境を維持します。
一方、地震時には、剛すべり支承の摩擦抵抗が切れて、摩擦係数が低い弾性すべり支承が機能して滑らかに免震機能を発揮させ、建物への被害を抑制します。また、剛すべり支承の摩擦係数を調整することで、ターゲットにしている地震の大きさに合わせて免震の効き始めを調整することが可能です。コストについては、通常の免震システムと同等です。
当社は引続き、精密環境が要求される半導体施設やクリーンルーム、建物内に大きな振動源をもつ印刷工場などに、マルチステップ免震を積極的に提案していきます。
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