無柱空間(大空間)構築構法「ダブルスーパーウィング構法」

ダブルスーパーウィング構法は、当社が1986年に開発したスーパーウィング構法の進化形です。

大スパンになるほどローコストで無柱空間を構築できるスーパーウィング構法の特長に加え、妻側外壁の構造柱をなくすことで将来的な建屋の拡張にも対応可能としています。

ダブルスーパーウィングで構築された福岡空港新貨物施設 国際貨物上屋(内観)

「ダブルスーパーウィング構法」の概要

スーパーウィング構法とは

スーパーウィング構法は当社開発技術の一つで、鉄骨トラス下弦材にPC鋼線を組み込んで緊張し、プレストレスを導入する構法です。常時引張力が生じている下弦材にプレストレスを導入することで引張力を低減するとともに、自重によるたわみを低減することができます。

一般的なトラス構造に比べ鉄骨量を減らすことができるため、短工期・低コストで無柱空間を構築できます。また、スパンが大きくなるほどコストメリットが増すという特長を持ちます。

一般的な鉄骨トラス梁の場合、自重でのたわみを抑えるためには、鉄骨の断面積やトラス高を増やす必要がある。そのため、スパンが大きくなるほど鉄骨量が増え、コスト高となる
スーパーウィングの場合、鉄骨トラス梁の下部に組み込まれたPC鋼線を引っ張ることで生じた圧縮力がトラス梁を押し上げるため、鉄骨量やトラス高を抑えた大スパン構築が可能となる

ダブルスーパーウィング構法では、スーパーウィングを2方向に配置

本構法は、これまで1方向だったスーパーウィングを2方向に配置することで妻側外壁の構造柱をなくし、将来的な建屋の拡張を可能としています。

ダブルスーパーウィング構法

施工時解析を設計にフィードバック

スーパーウィング構法ではPC鋼線の引張による圧縮力を鉄骨トラスへ確実に伝えることが重要です。特にダブルスーパーウィング構法の場合は、これが2方向となるため、設計段階から施工時の建方検討を行っています。

福岡空港新貨物施設 国際貨物上屋に適用するにあたっては、施工ステップごとに解析モデルを作成し、逐次変形および応力を足し合わせることで実情に合った解析を行っています。また、解析結果は設計にフィードバックされ、構造物の品質をより確かなものとしています。

解析モデル(福岡空港新貨物施設 国際貨物上屋)
施工時解析結果は設計にフィードバックされる

一般的なトラス構造との比較

本構法は、一般的なトラス構造と比較して、以下のようなメリットがあります。また、倉庫や工場に限らず、ショッピングモールや劇場、スタジアム、アリーナーなどに適用可能であり、お客さまのご要望に応じてさまざまな用途の大空間を短工期・低コストで実現します。

本構法のメリット

トラス高を抑えて無柱の大空間を構築

例えば、間口200m×奥行き80mの大空間を構築する場合、一般的なトラス構造では建物中央に柱を設置したり、トラス高をかなり大きくしたりする必要があります。

本構法では無柱で構築できることはもちろん、トラス高も必要最小限に抑えることが可能です。

鉄骨量を約10%削減

通常のトラスで大空間を構築しようとすると、トラス高さが大きくなり、部材も大きく重くなるため、鉄骨量も多く、組み立て手間も大きくなります。

スーパーウィング構法は下弦材にプレストレスを導入することで、トラス下弦材に常時働いている引張力を低減し、たわみを低減できるため下弦材断面を縮小でき、トラス高さも縮小できるため鉄骨量を通常のトラスより10%程度削減することができます。

工期を最大10%短縮

トラス構造では、トラスを一時的に支える仮受け構台を盛り替えながら作業を行いますが、本構法では仮受け構台はスーパーウィング部のみに必要となるため、工期を最大10%短縮することが可能となります。

採光・換気に優れ、メンテナンスも容易

スーパーウィングと鉄骨単材の段差を利用することで採光・換気が行えます。また、トップライトやルーフファンのようにメンテナンスの際に屋上に上がる必要もありません。

このページに関するお問い合わせはこちら