低収縮・高耐火・高強度コンクリート

高耐火・高強度のAFRコンクリートにひび割れ抑制性能を付加した「低収縮・高耐火・高強度コンクリート」の製造技術を確立しました。実用化の第一弾は、清水建設本社ビルの外観を特徴付けるPCフレーム(ハイブリッド外装システムの構造体部分)で、今秋からその建て込みがスタートします。本コンクリートの使用量は全体で4,300m3、2階~17階までのPCフレームに採用されます。

  • AFRコンクリート®
    混入する合成繊維の直径は0.005~0.10mm、長さは5~40mmです。当社と竹中工務店が共同開発したもので、両社で計33棟、87,000m3の打設実績があります。設計基準強度80N/mm2と100N/mm2のコンクリートに対する混入率は0.10~0.20vol%です。コンクリートミキサー車の中に少量の合成繊維を混入するだけで製造できるため、特別な製造設備は不要です。
  • ハイブリッド外装システム
    建物外周部に位置する柱・梁を細分化して構築したフレームの中に、ガラス、耐震パネル、太陽光発電パネルを組み込んだ外装システム。細分化した柱・梁は、ガラス面から50cmほど張り出しており、太陽光を遮断する庇の役割も果たします。

概要

清水建設本社ビルに採用するPCフレームについては、高強度コンクリートを用いる低中層階用のフレームのコーナー部にひび割れの発生が予想されました。その防止には石灰石の採用が望ましかったことから、高耐火・高強度コンクリートとして開発したAFRコンクリートの製造技術を適用し、「低収縮・高耐火・高強度コンクリート」の開発に取り組みました。AFRコンクリートは、合成繊維を混入した高強度コンクリートです。合成繊維は火災時の熱で溶融・消失してコンクリートに微細な空洞をつくり、この空洞が表層の熱膨張力や内部で膨張した気体の圧力を緩和する役割を果たし、表層の剥離・飛散を防止します。

技術研究所で実施した実証試験では、在来とAFRの製造方法(合成繊維を0.11%混入)で1体ずつ、新本社の低層階用フレームと同じ設計基準強度80N/mm2の柱の試験体を製造し、載荷加熱しました。在来の試験体は125分で破壊が確認されましたが、AFRは所定の耐火性能を1時間上回る4時間耐火の試験にも合格しました。

4時間加熱後(80NのAFRコンクリート)
4時間加熱後(80NのAFRコンクリート)
加熱125分で破壊(80Nの対策無しコンクリート)
加熱125分で破壊(80Nの対策無しコンクリート)
「低収縮・高耐火・高強度コンクリート」を打設したPCフレーム
「低収縮・高耐火・高強度コンクリート」を打設したPCフレーム

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