安震フロア®(簡易床免震)

「シミズ安震フロア」は、薄手の鋼板2枚を重ねただけの非常にシンプルな構造で、高い免震効果を発揮するローコストな床免震システムです。改修・新築を問わず適用でき、短工期での工事が可能です。製品コストは一般的な床免震の2/3~1/2で、大地震に際しても手術スペースに作用する加速度を200ガル程度に低減し、手術室の機能の維持に寄与できることが大きな特長です。新日鐵住金(株)との共同開発です。

概要

システム構成と機能

装置は、厚さがわずか5mm弱で、手術室の床上に固定する厚さ1.6mmのエンボス(凹凸)加工を施した亜鉛めっき鋼板製の「フロアプレート」、その上に重ねる厚さ3.2mmの亜鉛めっき鋼板製の「免震プレート」、免震プレートと手術室の4面の壁をつなぐ複数の「ばね」から構成されます。

装置の原理はとてもシンプルで、地震時には免震プレートがフロアプレートの上を滑ることで免震効果を発揮し、ばねの働きにより地震の収束時には免震プレートが元の位置に戻る、というものです。滑りをよくして免震効果を高めるために、両プレートの接触面には特殊な表面処理を施していることに加え、フロアプレートの表層に直径5mm、高さ0.4mmの円盤状の突起群(エンボス加工) を設けてプレート同士が接触する面積を小さくするなどの工夫により、プレート間の摩擦係数は0.1~0.2となっています。これは、免震プレートには重力加速度(1G)の10~20%の加速度しか作用しないということを意味します。このため、大地震に遭遇しても、免震プレートに作用する加速度が100~200ガル(0.1~0.2G)程度に低減され、医療設備・機器の移動・転倒防止を図ることができるので、建屋免震になっていない病院でも手術室としての機能の維持に寄与できます。

メリット

「シミズ安震フロア」は、非常に簡易な構造になっているので、ローコストで、かつ手術室1室あたりの免震化に必要な工期が10日間程度で済みます。また、優れたコスト・工期・免震機能に加え、装置の薄さも大きな魅力です。本装置は総厚が5mm弱と超薄型で、既存の床上にそのまま設置できるので、改修工事への適用にも支障はありません。なお、免震プレートの移動スペースとして、プレートと手術室の壁との間に400mm程度のクリアランスが必要ですが、壁固定の器材棚等を設けてクリアランス部分の上側を覆うことで、手術室の空間を無駄なく使用することもできます。

「シミズ安震フロア」の平面図
「シミズ安震フロア」の平面図
「シミズ安震フロア」の断面図
「シミズ安震フロア」の断面図

性能検証実験の様子

大型振動台(E-Beetle)により、震度6強の揺れを再現した性能検証実験の様子。「シミズ安震フロア」により免震化した手術室では免震プレートがゆっくり移動するだけで手術台の移動・転倒は確認されなかったが、非免震の手術室では手術台が激しく動き、転倒寸前の状態になった。

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