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高岡信用金庫本店

富山県高岡市の産業を支え、共に発展してきた信用金庫の本店である。
敷地は国の重要伝統的建造物群保存地区に指定され、文化庁の指導の下、景観保存が行われている。
歴史的な検証とともに、伝統的な金属加工産業を有する高岡らしさを、アルミ鋳物や黒本漆喰といった伝統技術と現代の建築技術を融合させることで体現している。

所在地 富山県高岡市
建築主 高岡信用金庫
延床面積 4,312.76m2(本店・本部棟・別館)
構造・階数 RC造・S造/地上5階建(本店は2階建)
工期 2016年7月~2017年3月

街の歴史に連なるということ

失われた地域特有の建築様式「土蔵造り銀行建築様式」を創る

明治33年の大火を経て、耐火性能の高い土蔵造りが並ぶ特徴的な山町筋の街並みが生まれた。
一方で、大火以前から建てられていた土蔵造り銀行建築様式を歴史的に検証し、切妻式町家の連続する街並みの中に、寄棟式屋根をもつ銀行建築が存在するという歴史的景観を蘇らせた。地域と共に生きるという信用金庫の企業理念を体現すると同時に、街の価値を未来に繋げる文化的意義を有し、今後の地方創生を促す建築の有り方を示している。


ユネスコ無形文化遺産「高岡御車山祭」と共に

車路入口

祭りの背景として

かつての本店外観

現代の信用金庫本店としての機能の追及

地域の人々を迎え入れるホスピタリティをもった営業室や来客エントランスなど、より質の高いサービスを提供する場となることを目指した。


高さ10Mの無柱バンキングホール

来客エントランス

高天井に対応する全面床吹出空調システムの採用

建築と一体となった梁型照明の設計

現代の技術により次なる本物を創造する

伝統工芸を背景とした金属加工技術を持つ工業都市高岡にとって、歴史との共存は重要である。
このプロジェクトでは、街の価値を未来に繋げるために現代建築がどのように関われるかという課題に向き合った。
単なる歴史的な復元ではなく、歴史的検証に基づいた土蔵造り銀行建築様式の意匠を、伝統的な建築素材と現代技術の融合により魅らせた。本物を超える性能を持つ「現代における土蔵造り銀行建築」を新たに創り出している。


黒本漆喰を採用した外壁

アルミ鋳物による観音開扉(アルマイト処理前)

古写真に写る格子柄の再現(アルミ鋳物制作用の木型)

アルマイト処理を施した格子
地域で使われている塩焼釉薬煉瓦がもつ独特な表情を、新たな製法によって製作したタイルにより再現した。