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下関ゴルフ倶楽部クラブハウス

下関ゴルフ倶楽部はS31年に開場し日本でも数少ないシーサイドリンクスである。ゴルフコース設計の二大巨頭の上田治氏による設計で過去に二度の日本オープンが開催されている名門ゴルフ倶楽部でもあり、日本海に面した自然豊かな立地となっている。
用途地域の指定はなく、2層の建物としており、2階までをRC造、屋根部分をLVL(単板積層材)とS造で構成した。親しい会員同士が集う憩いの場とするため、厳しい自然環境の中に、暖かな木造の大屋根を計画した。建築条件を活かし、要素をそぎ落としながら、システム化することでLVL木造大屋根のダイナミックな空間を実現した。

所在地 山口県下関市
建築主 一般社団法人 下関ゴルフ倶楽部
延床面積 2,478.95m2
構造・階数 RC造
屋根部分木造(一部鉄骨造)
工期 2015年10月~2016年10月

『1枚の大屋根』が包み込む木造のあたたかい空間

日本初のLVLユニットパネル工法を用いた木造大屋根への挑戦

一般的な鉄骨屋根で今回の大屋根を構成しようとすると、屋根仕上~天井仕上まで部材の構成が複雑なものになる。それらを解決していく手段として、最小の部材による屋根と天井の構成で構造部材表しの表現として解決する試みにした。地域指定なしという条件を活かし、在来工法では複雑化してしまう多くの要素を木造とすることでそぎ落とすことを可能にし、さらにシステム化させることでコスト面にも配慮をした。木造大屋根は「誰も経験したことがない」ので、木造での大スパン部材は国内では製造されておらず、一部材料はフィンランドからの輸入材を使用した。
また、間接的に外部の光を取り込み、屋根面を明るくするために、垂木の一部にはステンレス金物を付け加えることで、木漏れ日が屋根を照らすようなディティールとした。

シンプル+ユニット化

木造のロングスパン架構の天井を表しとて表現するために、垂木材を12m×50mm×300mm、360mmとし約400の垂木部材で構成した。これらを棟から軒先まで1.8m×12mの82のユニットを組み合わせることによって安定した水平力をRCフレームに伝え、棟を支える柱は水平力を受けず細く仕上げることで大屋根のダイナミックな空間を実現した。また、ユニット化により足場の省力化や施工精度、製品の寸法精度の確保にも配慮した。このユニットはLVLのストレススキンパネルの応用型としており、国内では初の試みとないる。ストレススキンパネルの下弦材をなくすことで、ユニット化と共に内装の仕上は木が見える表しの表現とし、シンプルかつ素材の力強さを感じられる空間となっている。

木のぬくもりを感じる豊かな空間を目指して

材種、色味等、木造大屋根空間をつくるのに最適な構造強度と材料の質間を考え、LVL(単板積層材)を採用した。
また、LVLには素材の積層断面が見える表情があり、エンジニアリングウッドとしてだけでなく、空間のアクセントと建物のデザインを統一させるため、エントランスホールや洗面エリア、掲示板など様々な場所、物へも展開している。
「木」は自由に形をつくれる。木造屋根に取組み始めた当初は考えていたが、プロジェクトを進めて行くに連れ、何でもできるからこその綺麗な納まりや自然素材の特性、コスト、職人の技術等、複雑な条件が重なり、何度も現場に足を運び、施工が可能かどうかを検討し、3Dとスケッチを応用しながら施工図レベルの検証を積み重ねた。特に木、鉄骨、RCのハイブリット構造であるこの建物では、異素材同士の納まりと端部のディティールの検討を繰返し何度も検討し、素材の特徴を最大限に引き出すデザインを目指した。

LVLをインテリアのアクセントとしても使用

自然の中のクラブハウス

下関ゴルフ倶楽部はプロツアーが行われる程の日本屈指の名門ゴルフ倶楽部である。日本のゴルフ場では珍しく、海際にレストハウスを構えるシーサイドリンクスであり、目の前に下関の響灘を望むことができる。周囲には松林が広がり、美しい景色と共に時には自然の荒々しい一面もある。


エントランスに入ると見えるシンボルツリーの松

日本海と松林を見ながら歩く廊下・ギャラリー

重厚感と温もりのあるメンバーズラウンジ

松林を感じるデッキテラス