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流通経済大学  龍ケ崎キャンパス2号館

50周年のシンボル
本計画は流通経済大学50周年事業による龍ヶ崎キャンパス新校舎建設工事である。 開校から50年が経過し特に近年は学習方法や生活スタイルにも大きな変化が訪れた。 そこで本計画は、キャンパスの中心となる「象徴性」を持ち、わかりやすく、溜まりやすく、使いやすいという条件を満たしつつ、学習の場として学生の居場所となる新しい「プラットホーム」を造ることを目指した。

所在地 茨城県龍ケ崎市
建築主 日通学園
延床面積 5,124.40m2
構造・階数 RC造・一部S造
地上4階建
工期 2016年5月~2017年3月

シンボリックコミュニティプラザの創出

一枚の大屋根がつくる多様な居場所

計画地の特徴や50周年の歴史が育んだ圧倒的な自然を取り込み、一枚の大屋根の下で「アトリウム」「講義棟」「既存図書館」を繋ぐことによって、開放的でシンボリックなコミュニティプラザを創出した。
既存図書館と一体になった「ラーニングコモンズ」、周辺敷地の傾斜を引き込んだスキップラウンジにある「ICP」「スキップカウンター」など、学生や講師が集い、心を開ける居場所の提供することで、相互の活発的なコミュニケーションを促す学生のプラットホームを生み出している。

学生のプラットフォームを生みだす

知識や情報が集積する既存図書館と連動し、多彩な活動を受けとめるダイナミックな空間に、コミュニケーションのスタイルや人数を限定しない形の家具やそのレイアウトを計画する事で、多様性のある場所を創出している。学生自身がアクティビティに合う空間を見出し、活発な交流の場で他人との関係性から受ける刺激は創造力や統率力、調整力を育む。 今まで別々の場所であったり、目にすることがなかったアクティビティが一堂に会し、相互の関係性を生み出す空間を構成した。

人と時間をつなぐ

歴史と未来が共存する空間。コミュニティプラザの中心には、「これまで」と「これから」の50年の歴史を刻み続ける「メモリアルウォール」を設置している。また日常の活動に対しては、スタイルや人数を限定しない形の家具やレイアウトにより、多様性のある「学生の活動」を生み出す空間を構成している。 この空間の中では、今まで別々の場所であったり、目にすることがなかった事、創立の原点となるものを一堂に会し、連続的に繋がる空間となっている。


メモリアルウォールの下部には日通より出損された、運搬業にゆかりのある「力石」の展示を行っている。

機能から生まれた形

快適な学習環境への配慮と将来を見据えた計画。柱梁アウトフレーム構造により実現した、彫りの深いグリッド(格子)形状の縦横の庇効果や、リブ付PC床板の溝を利用することで可能となった、吹出し口が見えない「コアンダ効果」による空調など、建築の計画を機能的な面からも考える事により生まれた形。

構造計画

柱梁アウトフレーム構造とPC床板により実現した、彫りの深いグリッド(格子)形状のコンクリートは、縦横の庇効果により居住域の日射抑制とシンプルな構造計画による工期短縮と講義室天井の無梁化を生み出す。PC床板は2種類(FR板とRC板)をスパンによって使い分け構造の合理化を図っている。講義室内に梁がないことにより空間のフレキシビリティが高まり、長期間の使用の中で発生するであろう講義室の大きさの変更にも対応することができる。


FR板

FC板

柱梁アウトフレーム構造

設備計画

粘性流体が壁面に沿って流れる「コアンダ効果」に着目し、ハーフプレキャストのPC床板(以下、PC板)の天井現し部分の凹凸と、汎用品の天吊隠蔽型室内機の組み合わせによって低速で空調空気を搬送し、ドラフト感と温度むらを抑えることを試みた。さらにはPC板への蓄熱効果および輻射効果により室内環境の向上に寄与する。室内へのダクトやノズルの設置が不要となるため、室内の天井高の確保と意匠性の向上を実現している。


チャンバー部断面図

コアンダ効果の解析

冷房時CFD解析結果
暖房時CFD解析結果