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秋葉原アイマークビル

デザインとエンジニアリングを融合したマルチテナントオフィスビル
敷地は、昭和通りと蔵前橋通りの交差点に位置し、アクセスには好立地でありながら、目の前に高速道路、付近には鉄道の高架橋や万世橋といった近代架構が残る秋葉原にあり、街並みに埋もれない力強さを持つファサードを目指した。同時にオフィスとして無柱大空間の要求にも応えるべく、当社独自技術であるシミズPS-HyECOS構法を採用し、RC造の構造体をそのまま外装としたファサードデザインと、20mを超えるロングスパンの無柱空間を実現している。 また、現在の社会が求める建築への投資条件の変化として、ワークスペースに「健康」という新たなニーズが生じている中で、「eco+BCP」に加え、建築の省エネルギー化を図りつつユーザーの健康を第一に考える「eco+WELLNESS」として、テナントオフィスビルのひとつのありかたを提案した。

所在地 東京都台東区
建築主 清水建設株式会社
延床面積 16,014.11m2
構造・階数 RC造 S造一部SRC造/地上12階 塔屋1階
工期 2016年8月~2018年3月

構造システム × 環境装置 = ファサードデザイン

敷地は、北側に交番、南側に小規模オフィスビルが食い込む不整形な形状となり、まず昭和通り側に整形な執務プレートを最大限確保した上で、コアを片側に寄せ、敷地の形状に合わせて凸状に突き出す平面計画とした。 外装は、シミズPS-HyECOS構法の採用により、外周部RC柱と内部鉄骨梁の接合部を剛接合として鉄骨梁の成を抑え、接合部のRC根巻部にプレストレスを導入することでより剛性を高めて20mを超えるロングスパンの無柱空間を実現している。 開口部を穿つようにして設けたGRC庇は直達日射をカットし、上部スリット状の開口は光拡散フィルムを貼り、自然光を居室奥深くへと導くライトシェルフとしている。メインファサードが西向きであってもPMVの快適域±0.5の範囲におさまるよう、トリプルLow-Eガラスの採用やブラインドとの間にたまった熱気を抜く簡易エアフローシステムの導入、さらにBCP用に設けた換気装置を組合せて、環境装置としての開口部を計画した。


 

外装断面詳細

工業化工法による生産性向上

企画設計段階の2015年当時、鉄骨単価が上昇していたが、鉄筋単価は下がる市場傾向にあった。RC造にすればローコスト化が図れることは容易に想像できたが、工期が延びるという課題が残った。そこで、外周部のRC柱と梁をすべてPCa化して鉄骨造と同じ工期となるよう、企画段階から施工検討を進め、設計に反映させ、PCaの断面形状を統一、単純化し、接合部はグラウト継手方式による配筋作業の最小化を追求した。また、PCaを積層させることで生じる柱と梁の施工誤差を吸収するため、フロアごとに深く目地を取り、そこに水切りを通してメンテナンス性も向上させた。その他にPCaのストックや搬送時の専用重ね治具を用意し、その据付部をPコン跡のようにして、ものづくりの痕跡を残すデザインを施した。シミズPS-HyECOS構法を完全PCa化することで、均一で高品質な構造躯体と力強いファサードを、さらに作業員省人数化による生産性の向上を実現した。


PC柱・ハーフPC梁・鉄骨大梁の構造

シミズPS-HyEcos構法

eco + WELLNESS

快適で省エネルギーなオフィスを高度なレベルで具現化するために、新たな放射空調システムを開発するなどして、「LEED Gold」と、マルチテナントオフィスとして首都圏初の「ZEB Ready」の第三者認証を取得した。 基準階事務室は全フロアで新たに開発した放射空調システムを採用している。この放射空調システムは気流・温度ムラが少なく、静音性に優れている他、一般的なグリット天井への据え付けが可能で、同様の間仕切り対応ができるフレキシブル性の高い空調システムとなっている。全館パッケージ空調方式と比較して、一次消費エネルギーを-27%にする高い削減効果があり、全体工事費の4~5%程度のコストで導入可能な「eco」と「WELLNESS」の両立を図る空調システムを開発することができた。 また、外光を採り入れた明るい階段室やパントリー、トイレ、屋上にはリフレッシュスペース、建物が密集したエリアでありながらエントランス外構にはベンチや四季折々の植栽を設え、空間の快適性やつながりといったテナントユーザー目線での計画を共用部各所にしている。







「秋葉原らしさ」を演出したデザイン

秋葉原は、電気街やサブカルチャー、アイドルのまちというイメージだけではなく、万世橋や鉄道などの近代の遺産が残るまちでもあり、その文化や歴史を感じさせる演出インテリア各所にも施している。エントランスのデザインでは、電気の基盤や回路をモチーフとした平面計画、天井デザイン、演出照明と、手仕事の痕跡が残る壁面パネルのデザイン、サイン計画においても回路をモチーフとしたデザインとし、統一感のある「秋葉原らしさ」を演出した計画としている。