食品工場

既存工場移転プロジェクトの支援

食品工場の建設プロジェクトでは、既存工場で使用している機器を移設して新工場でも使用するケースが多くあります。お客様の生産活動と同時進行で行う移設工事は新たに機器を購入して設置するより、複雑な段取りが必要です。既存装置の状態調査から装置メーカーへのヒアリング、必要ユーティリティ情報の新工場への展開など、多くの複雑な作業があります。食品安全の観点では移設機器が汚染原因となって新工場で虫の発生や異物混入といったトラブル原因にもなりかねません。 シミズは、多忙なお客様の業務を代行し、幅広い能力が求められる工場移転プロジェクトも30年にわたる食品工場のエンジニアリング実績を活かし、円滑な工場移転と迅速な稼働開始をお手伝いいたします。

工場移転プロジェクトでの機器移設作業

移設準備

  • 機器レイアウトやユーティリティ種類・使用量の調査
  • 移設機器、ユーティリティの必要条件を移設先に計画
  • 移設機器と新規購入機器の配置計画
  • 生産機器の状態、オーバーホール要否判定
  • 移設機器を原因とする汚染リスクの調査
  • 装置クリーニング

スケジュール調整、工事安全管理

  • 搬出、搬入の調整、工事安全管理
  • 既存工場での生産計画と在庫調整立案

移設機器の性能確認・調整

  • 現地搬入据付けにおける建築工事との調整
  • 機器立上げ工程の作成と関係各社との調整
  • 移設後の機器性能確保

FSSC22000対応

世界の食品・流通業界(GFSI)が主導し承認している食品安全規格の一つであるFSSC22000の採用が、2010年頃から国内企業でも一般的になっています。これは国内の食品・流通業界もこの国際安全規格に賛同し、日本国内での取引条件としてFSSC22000認証取得をパートナーに推奨しているためです。

FSSC22000は、より信頼性のある仕組みを求め従来からあるISO22000(食品安全マネジメントシステム)の弱点であるHACCPシステムのためのPRP前提条件プログラム(ハード・ソフトの衛生管理)に関する記述を、より具体的に詳細に規定し、食の安全を確保することを目指しています。FSSC22000のPRP前提条件プログラムに関する規格要求(食品工場はかくあるべき)の内訳は、約5割が建築に関するもの、残りが生産機械設備と運用ソフトに関するものが半分ずつとなっています。

シミズは、新築だけでなく既存工場のFSSC22000適用改修も含めて、建築、生産設備、運営ソフトに関する豊富な実績でFSSC22000に対応できる食品工場の実現を支援いたします。 規格要求事項の主旨の理解と多くの経験をもとに、特に既存工場では、例えば衛生区分の間仕切壁が新設できないなど、規格要求を満たすのが物理的に不可能な場合が多々あります。そのような時には、ハードの規格要求事項に対するソフト運用での代替手段も合わせた現実的な解決案を立案いたします。

シミズの“FSSC22000”認証取得サポート

ギャップ分析について

FSSC22000を構成するISO/TS22002-1は、フードサプライチェーンのうち食品製造に関する前提条件プログラム(PRP) の要求事項を定めた技術仕様書であり、食品製造時の運用面のほか、建物や設備、生産設備に係るハード的な仕様に ついても記載されています。 当社では、 「ISO/TS22002-1の要求事項」と「ご提案する建物・設備・生産設備の仕様」に隔たりがないかを確認するために、 ISO/TS22002-1ギャップ分析を実施しています。

■ハード要件に漏れがないか確認


当社独自のFSSC22000のチェックリストのイメージ

工程分析について

食品安全を守る最終の防波堤に位置する管理手法がHACCPです。 HACCPの考え方において、CCPとして管理するべき対象はその名の通り 「必須管理点」であり、重大かつ特定可能な危害要因を取り扱います。 CCPの許容限界を逸脱することはすなわち食品の不良を意味し、 その原料ないし製品に対する是正措置(廃棄、再加熱等)が求められます。 したがって、CCPで取り扱う対象工程はその食品の安全において必須となる事項に限定し、 確実に運用することが必要となります。 そのため、当社では工程分析を行い、食品製造に係る全工程を洗い出し、 PRPで取り扱うべきか、CCPで取り扱うべきかを明確に区分し、 HACCPが効果的に運用できるようご提案する建物・設備・生産設備の仕様を最適化いたします。

■CCPとその対応をハード・ソフト設計に反映

フードディフェンス

食の安全に関する消費者ニーズの高まりと社会状況の変化によって、食品安全で考慮しないとならない範囲が拡がってきています。フードディフェンス(食品防御)もその一つです。

例えば、たびたび起る悪意を持った異物混入事件。作業の不注意、管理の不充分に起因する異物混入事故と異なり、悪意を持った意図的な食品へ異物投入は、これまでのHACCPによる食品安全管理システムだけでは万全に防ぐことはできません。FSSC22000等の食品安全システムでは、前提条件プログラムにフードディフェンスに関する項目が規格要求として含まれています。すなわち食品工場を計画するときの必須検討項目となっています。

作業スペースへの新しい入出管理方法やセキュリティ技術を利用した監視システムなどが有効な手段となる場合があります。弊社は建設会社の強みを活かし施設管理専用の自社開発ITシステムを、40年以上にわたりでお客様に提供して来た歴史があります。シミズは、多くの食品工場の設計と工事の実績から蓄積したハード及びソフトのノウハウに加え、同様に長年蓄えたIT技術で最新のフードディフェンス・ソリューションを提案します。

フードディフェンス食品防御 フードセイフティ食品安全
性悪説 性善説
システムへの攻撃 システムの不備
食品事件 食品事故
意図的 偶発的
高濃度混入 低濃度混入
未知の物質 既知の物質
HACCP想定外 HACCP想定内

■食の防御:セキュリティ技術を活用した「隙のない工事計画

・動線分析  ・リスク分析  ・入退室管理  ・監視カメラ/警報システム  ・照明設備  ・外壁フェンス
シミズでは建築的対策とセキュリティ技術を組み合わせ、新築・改修問わず費用対効果の高い総合的ソリューションをご提案します。

アレルゲンのコンタミネーション防止

食物アレルギー物質の混入は、極微量でもアナフラキシーショック発症のような重篤な事故につながる恐れがあります。

食物アレルギーの誤飲食による事故防止のために、容器包装された加工食品の原料にアレルゲンを使用しているときにはその旨を表示するよう定められています。表示のないアレルゲンが商品に製造プロセスで混入(コンタミネーション)していると リコールの対象となります。したがって工場では原材料のアレルギー物質の仕入れ管理、分離保管、製造工程での混入厳禁など徹底した交差汚染防止の対策が求められます。

シミズは、保管庫計画、製造及び洗浄の手順を考慮した機器計画、アレルゲンの拡散防止のための空調設備計画、入退管理システムなど、清掃しやすい機器設置と建築仕上選定、生産機器と建築建築設備一体となった計画設計から施工試運転までのトータルエンジニアリングでアレルゲン混入を防止する工場を提案します。

※アレルゲン特定原材料:

食物アレルギーを引き起こすことが明らかになった食品のうち,症例が多いものや症状が重篤なもの7品目を「特定原材料」と呼びます。この特定原材料を含む加工食品には表示が義務づけられています。また,過去に一定の頻度で健康被害が見られた20品目を「特定原材料に準ずるもの」とし,これらを含む加工食品には表示が推奨されています。

特定原材料 卵,乳,小麦,そば,落花生,えび,かに 表示義務
特定原材料に準ずるもの オレンジ,りんご,キウイフルーツ,バナナ,もも,くるみ,大豆, まつたけ,やまいも,牛肉,鶏肉,豚肉,あわび,いか,いくら, さけ,さば,ゼラチン,ごま,カシューナッツ 表示を推奨

ハラール・コーシャ対応

海外でのジャパンブランド食の人気や訪日観光者4,000万人時代を迎えて、イスラム教徒のハラールやユダヤ教徒のコーシャなど宗教上のルールに従って加工される食品のニーズが顕在化しています。

ハラールやコーシャ食品の製造は、HACCPをクリアした上でなおかつ特別な宗教的ルールを満たす厳格な動線、バリアを備えた工場の計画が必要です。 空間を共有することで起こる宗教的な交差汚染は厳禁で、製造保管エリアを分離専用とするのが理想的ですが、作業を時間的に分けて行う方法でも洗浄による機器ローテーション計画、ユーティリティヘッダーの専用化、粉体原料の飛散防止、プロセスで使用されるフィルター材質、消毒用アルコール剤の残留など、通常工場とは異なった視点での計画が求められます。

シミズは、豊富な経験からイスラムやユダヤの消費者の方にも安心頂ける商品を製造できる食品工場を建設し、ジャパンフード市場拡大のお手伝いをいたします。

[参考リンク]